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石井琢朗が認める「背番号5」の後継。
DeNA倉本寿彦、2年目での3割死守を。

posted2016/09/09 07:00

 
石井琢朗が認める「背番号5」の後継。DeNA倉本寿彦、2年目での3割死守を。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

堅実な守備に加え、打撃もしぶとさを増した倉本。名曲で知られる石井琢朗の応援歌を継承できるか。

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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Naoya Sanuki

 1位の坂本勇人に始まり、鈴木誠也、菊池涼介、山田哲人、筒香嘉智……。

 セ・リーグの打率ランキングを上からたどると、当然ながら、人気・実力ともに球界を代表する打者たちが並んでいる(9月7日終了時点)。

 彼らの名前が放つ輝きに比べれば、8番目に登場する男は少々地味だ。いや、ベイスターズファンでない人にとっては、まだまだ無名と言っていいのかもしれない。

 倉本寿彦。

 DeNAの7番を打つ25歳は、プロ2年目の今季、遊撃手のレギュラーとしてほぼフル出場を果たし、なおかつ打率3割をしぶとくキープしている。ネームバリューの大小にかかわらず、ここまでの活躍は称賛に値する。

 最初に脚光を浴びたのは、昨季の開幕の頃だった。横浜高校から創価大学、社会人の日本新薬を経てドラフト3位でプロ入りすると、中畑清監督(当時)に買われ、遊撃手としては球団史上44年ぶりとなる新人開幕スタメンを勝ち取った。

 だがシーズンが始まると、オープン戦のような結果は出なかった。快音は続かず、一軍と二軍を往復。華々しくスタートした1年目は、打率.208で幕を閉じた。

引っ張り中心から、逆方向へ意識転換し打率が向上。

 倉本は昨季について、こんなふうに語っていたことがある。

「どうすればいいか分からないというか……、コーチが言っていることさえもよく理解できなかった」

 課題と助言は凸凹のピースだ。自身の現状をある程度は把握してこそ、コーチの言葉は欠けた部分に当てはまる。アドバイスが脳を素通りしてしまうほど、バッティングの状態は深刻だったということだろう。

 今季、倉本の打撃スタイルは明らかに変わった。昨季までの引っ張り中心から、逆方向へ意識を転換。フォームにも細かい修正を随所に加えて、飛躍的に打率を向上させた。

 その活躍ぶりに目を細める人物がいる。ベイスターズで2000本安打を達成し、現在はカープの一軍打撃コーチを務める石井琢朗だ。

【次ページ】 「応援歌、使わせてください」と相談されたことも。

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