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いつかはホンダで優勝争いを――。
Moto3鈴木竜生が目指すトップへの道。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2016/08/27 08:00

いつかはホンダで優勝争いを――。Moto3鈴木竜生が目指すトップへの道。<Number Web> photograph by Satoshi Endo

雨のチェコGPで13位のポジションで走る鈴木竜生。マヒンドラ勢では2番目のリザルトだった。

“別ルート”を走って世界にたどり着いた鈴木。

 日本人選手が世界を目指すには、ホンダがサポートする「アジア・タレントカップ」、MotoGPを運営統括するドルナが行っている「タレントカップ」といったスカラシップを目指すのが一般的である。

 そういう中で鈴木は、両親のサポートを受けながら、他の日本人選手たちとはまったく違う道で世界に挑戦を始めた。

 しかし、グランプリ2年目の今年は、勝てるバイクで参戦したいという思いを募らせている。

 所属するチーム・CIPはホンダを走らせてきたチームだが、Moto3クラスに参戦するメーカーに参加台数の枠組みが出来てからは、その枠組みからもれてマヒンドラで参戦している。現在、チーム・CIPはホンダでの参戦を希望しているが、なかなか実現しない。そんな状況の中で鈴木は、チーム・CIPのホンダ獲得の交渉を横目に、ホンダチームへの移籍を視野に入れている。

性能に劣るマシンでも5回のポイントを獲得。

「今年は、マヒンドラ勢のトップで、ベストリザルトは5位以内。来年はチャンピオン争いが出来る体制にしたいと思っていた。でも、ここまでは、そのどちらの目標も達成していないし、それが悔しい。ただ、マヒンドラ勢のワークスチームであるチーム・アスパルの2人は、本当に速い。同じバイクだとは思えない」

 マヒンドラ勢でトップのF・バニャイアは、優勝を含む4回の表彰台で総合5位。J・マーティンもチェコGPで2位初表彰台を獲得している。レギュレーションでエンジンは同じだが、車体関係の差が、パフォーマンスの差になっている。そのため、チーム・アスパル以外のマヒンドラを使う3チーム6人は、ポイント獲得もままならない状態。その中で鈴木は5回のポイント獲得を果たしている。

 その要因は、チャンスを逃さない勝負強さ。ウイークポイントは、予選でなかなか良いグリッドを獲得できないこと。これは、マシントラブルが多く、鈴木のせいばかりとは言えないが、予選でもう少し上位に行ければ、コンスタントにシングルフィニッシュを狙える走りをしている。いずれにしても、マヒンドラ勢では、なかなかの走りをしていることは誰もが認めるところである。

【次ページ】 「優勝争いが出来るホンダで力を試したい」

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