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親子鷹GPライダーの目標へ着々。
佐々木歩夢16歳、圧倒的な成長曲線。
posted2016/10/09 07:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
昨シーズン、アジアの若手ライダーを育成する「シェルアドバンス・アジア・タレントカップ(以下、アジア)」でチャンピオンになり、このコラムで紹介した佐々木歩夢が、今年は、ヨーロッパで開催されている「レッドブル・ルーキーズカップ(以下、ルーキーズ)」でチャンピオンに輝いた。
ルーキーズカップは、グランプリを運営統括するドルナ・スポーツ(以下、ドルナ)が、将来のGPライダーを育てようと2007年にスタートさせた育成プログラムで、ヨーロッパのグランプリに併催される形で今年は7戦13レースが行われた。
昨年、アジアでチャンピオンになった佐々木は、初出場のルーキーズカップでは優勝1回を含む5回の表彰台で総合3位。2年目の今年は、13レースを戦い4勝を含む11回の表彰台に立った。タイトル決定は、最終戦アラゴン大会の「レース2」にもつれ込んだが、チャンピオンを争うスペイン人のアレイシ・ビウが優勝しても、佐々木はポイント圏内の15位以内でフィニッシュすればチャンピオンが決まるという圧倒的有利な状況だった。
そのビウがレース序盤に転倒。その時点で佐々木のチャンピオンはほぼ決まったが、レースは、佐々木を含む3人の優勝争いとなり、ラスト2周で首位に立った佐々木が真っ先にチェッカーを受けて優勝し、チャンピオン獲得に華を添えた。
ワンメークが得意の佐々木は、ルーキーズで才能発揮。
今年は、ドルナに選抜された優秀な若者が世界中から集まるルーキーズと、ホンダのサポートを受けて、スペイン、フランス、ポルトガルで開催されているFIM・CEVレプソル国際選手権(CEV)のMoto3ジュニア世界選手権に出場した。
ルーキーズはKTMの市販レーシングマシンを使用してのワンメーク。子供のころから、同じバイク、同じタイヤで戦うワンメークで素晴らしい成績を残してきた佐々木は、ルーキーズでもズバ抜けた才能を発揮した。
一方、今年から参戦したCEVは、グランプリとほぼ同じルールで、ホンダ、KTM、マヒンドラが競い合う。ルーキーだったCEVでは、常にトップグループに加わるも、最後に抜け出すだけの速さがなく、10レースを戦い表彰台1回の総合5位。最終戦では、さらにランキング上位とCEV初優勝を狙っているが、目標とするチャンピオン獲得は果たせなかった。