リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「ナイジェリア戦がメダルへの全て」
リオ初戦、日本が抑えるべきはミケル。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2016/08/04 17:30
2年前のブラジルW杯でも存在感を見せたミケル。手倉森ジャパンにとってその経験値は最大の脅威となる。
長身FWサディク、そしてミケルのプレーに要注意。
個人として面倒な相手になりそうなのがMFオゲネカロ・エテボ。U-23アフリカネーションズカップでは5ゴールを奪い、得点王に輝いた。決勝では30m以上をドリブルで独走してからゴールを決めるなど、パワー溢れるドリブルが得意だ。
FWではサディク・ウマルだろう。19歳だがローマ(イタリア)に所属しており、192cmと大きさ、強さを併せ持ち“ヌワンコ・カヌ2世”と称される逸材だ。足元の技術も高いがセットプレーでは大きな脅威になり、クロスボールへの対応は要注意だ。
「個の攻撃能力が非常に高い」と手倉森誠監督は警戒しているが、そのナイジェリアにいかに対峙すべきか。
まず、気を付けなければならないのはキーマンのプレーだ。過去のW杯でのアフリカ勢の対決を振り返る。
南アフリカW杯でのカメルーン戦はFWサミュエル・エトーをうまく封じ込めて1ー0のまま逃げ切れた。しかし、ブラジルW杯のコートジボワール戦では先制点を奪ったもののFWディディエ・ドログバの途中出場で空気が一変し、その勢いに呑まれて日本は逆転負けを喫した。
アフリカのチームは、キーマンのプレーでガラリとムードが変わる。今回のナイジェリアでいえばミケルだ。彼を調子づかせると勢いが出て、他の選手もイキイキとしてプレーするだろう。とにかくミケルを自由にやらせないことだ。
2ボランチ&アンカーのシステムは未知数。
国際大会を勝ち抜くには安定した守備が必要になるが、親善試合のブラジル戦から修正すべき点はサイドの守備だろう。相手MFをサイドバックが見るのが日本の戦い方だが、ブラジル戦ではサイドバックが1対1の対応に苦慮し、ネイマールらの突破を許した。
高い身体能力を持つナイジェリア相手にサイドバックが一人で対応するのはかなり厳しい仕事になる。MFは攻め残りせずに守る時は人数をかけ、挟み込むなど、相手が決定的な仕事をする前に抑える守備が必要になる。全体の守備に関してはブラジル戦以降、「ラインの上下動を含めてDF陣で話し合い、修正した」と植田直通は語っている。
だが、マナウスでは主に攻撃の練習に時間を割き、守備の戦術的な練習はほとんどしていない。それゆえ、たとえばボールを奪う場所、タイミングなど全体的な守備のやり方を統一し、連動して守れるかどうかはぶっつけ本番になる。また、2ボランチ&アンカーのシステムを練習で試していたが、これもどのくらい機能するのか未知数だ。本番前に守備の整備が出来ていたロンドン五輪の時とは異なり、守備に対する確固たる自信がないのは大きな不安材料だが、本番でうまくハマれば自信を持って戦うことができるだろう。