月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島、7月のスポーツ新聞時評。
都知事選をスポーツ紙で読み解く。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/08/01 12:00
リオ五輪の閉会式に、次回開催地の首長として出席予定の小池都知事。もちろん、ビジネスクラスでの渡航となる。
与党も野党もなんだかなぁの都知事選。
一方、自民都連が出したこんな文書が話題になったのもこの頃だ。
「自民都連、小池氏応援なら除名処分も…議員本人だけでなく親族もダメ」(スポーツ報知 7月13日)
自民党東京都連が所属する国会議員や地方議員へ党が推薦していない候補者を応援した場合、「除名などの処分対象になる」との文書を配布した。しかも議員本人だけでなく親族による応援も禁じていた。石原伸晃会長や都連幹事長の内田茂都議らの連名で出された。
私は常々「石原伸晃が不甲斐ないから政治が動く説」を主張している。2012年の自民党総裁選で本命と言われた伸晃氏が失速するや、その後すぐ父親の慎太郎氏が国政復帰したり、俳優の山本太郎が「石原伸晃さんの選挙区で闘う」と出馬した(衆院選・東京8区)。
つまり、伸晃がピリッとしない、それだけで政界が動いたのである。
今回も自民党の東京都連会長である石原伸晃がオタオタして都知事選は混沌とした。小池百合子に先制パンチを食らって最後までフラフラした。
それだけではない。石原伸晃氏に負けじと野党第一党・民進党都連もグダグダだった。
《調整不足を棚に上げ、多くの候補者の名前を無駄に先行させ、その気になった候補者の人生を翻弄(ほんろう)した。野党共闘は事前の水面下での打診や調整があって初めて成立するが、立候補を取り下げさせたり、秘密裏に別の候補者と相談しているようでは信頼関係など作れない。出たい人をあきらめさせる権利を野党は持っているのなら、自民党都連とさしてレベルは変わらない。》
(7月15日 日刊スポーツコラム「政界地獄耳」)
与党も野党もなんだかなぁの都知事選だったのである。
結局、都知事は小池百合子氏に……。
ここまで混迷になったのは「後出しじゃんけん」とか「知名度」とか、都民の側は「もういいよ、いい加減」と思っていることに、各政党が相変わらずこだわったせいでもある。
さて新都知事は小池百合子氏に決まった。選挙戦の経緯はドタバタしたが、一体どんなリーダーぶりを見せてくれるのか。
今回はとにかく混沌の都知事選をスポーツ新聞でふりかえってみた。こういうとき役立つのも魅力なんです。
以上、7月のスポーツ新聞時評でした。