月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島、7月のスポーツ新聞時評。
都知事選をスポーツ紙で読み解く。
posted2016/08/01 12:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Shigeki Yamamoto
7月31日におこなわれた東京都知事選。
舛添都知事の辞任後に「知名度優先の人気投票のような都知事選はもういい」という意見があふれた。
そんな都民の実感とは別に、過去最大と言ってよいほど今回はカオス&グダグダ感があった。一体どうしてこうなったか。
こういうときは、流れがわかりやすいスポーツ新聞に限る。今回の時評はちょっと形を変えて7月のスポーツ新聞を時系列でふりかえってみよう。
6月29日に自民党の小池百合子氏が立候補の意向を表明した。しかし自民党の都連は別の候補を探していた。このとき都連は誰を候補に考えていたのか。
7月1日 「桜井パパ やはり固辞」「知名度は息子のもの」(日刊スポーツ)
タレント・櫻井翔氏の父で前総務事務次官の桜井俊氏を担ごうとしていたのだ。桜井氏によると自民党の出馬要請は6月29日にあったという。
つまり同日に出馬会見した小池氏は都連と桜井氏に奇襲を仕掛けたということになる。とくに桜井氏へのプレッシャーという意味もあったのだろう。「政界渡り鳥」とも皮肉られる小池氏の嗅覚がみえた「先出しじゃんけん」であった。
どんどんこんがらがってきた……自民&民進党。
7月2日 「小池降ろし 自民都連 増田氏に出馬要請へ」(スポーツニッポン)
自民党都連が元総務相で元岩手県知事の増田寛也氏を軸に調整する方針を固めた。“百合子の乱”の収束へ、カードを早めに切る形となったと記事は伝える。
7月4日 「民進も増田氏推す声」(日刊スポーツ)
またまたこんがらがってきた。
民進党の都連会長の松原仁衆院議員が「(増田氏は現在)自民党の候補とは考えていない」と述べたのだ。
なんだかよくわからないまま紙面をめくると、「睡眠中の腰や肩の『悩み』を解消」というマットレスの広告があった。そこには「ジャーナリスト・ニュースの職人」という肩書の鳥越俊太郎氏の写真が……。
この人が約10日後に突然姿をあらわすとは。