岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
五輪で7人制ラグビーを楽しむために。
岩渕健輔がその魅力と特異性を解説!
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/07/27 17:00
広いコートを7人でカバーするセブンズは、求められる能力が違う。15人制のスピードスターですら選考から外れる厳しい世界なのだ。
帰化選手を含む男子、出自が様々な女子。
実は男子の代表と女子の代表では、いくつかの違いも見られます。
男子の代表では、昨年のRWCイングランド大会にも出場した福岡堅樹選手などが加わるとともに、日本国籍を取得した外国人選手3名が最終メンバーに名前を連ねることになりました。
一方、女子の代表チームは、女子ラグビーにスポットライトが当たる前から地道にプレーを続けてきたベテラン選手と、中高生の時から一貫した指導を受けてきたアカデミー出身の選手、そして他競技からの「種目転向」という形でラグビーを始めた選手で構成される形になりました。
ちなみに、代表に内定した桑井亜乃選手はもともとは円盤投げの選手ですし、バックアップメンバーに選ばれた竹内亜弥選手は、バレーボールからラグビーに転向してきた選手です。どちらも2010年と2011年に実施したトライアウトを通じてラグビーに転向して、今回五輪出場の機会を手にすることになりました。
リーグ基盤が弱い女子は、なおさら特別な強化が必要。
また女子の代表につきましては、過去4年間を通じて、男子の代表以上にタスクフォース型で強化を行ってきた点も特筆できます。
競技人口やインフラの整備等も含めて、日本の女子ラグビーは男子のラグビーよりも、代表の強化が難しい状況にあるためです。
たしかに最近は「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」という国内のセブンズシリーズが発足し、シリーズを通じてレベルアップを図ることが可能になりました。
ご協力いただいたスポンサーや関係者の皆様には、この場をお借りして改めて御礼を申し上げたいと思いますが、やはり女子の場合は国内の基盤が男子ほど盤石ではないため、オリンピックに向けては特別な強化の方針を執ってきました。
違いがある一方で、男女の代表には共通点もあります。
昨年のRWCイングランド大会同様、鋭く前に出て、低いタックルで相手を止めていくディフェンス、何度倒されても相手よりも必ず一足先に布陣を組み直し、互いにサポートしながら戦っていく組織力、そして受け身になるのではなく、できるだけ長くボールを保持しながら、常に試合の主導権を握っていこうとする積極的な姿勢は、リオ五輪でも勝利を収めるための鍵になります。