甲子園の風BACK NUMBER
高校野球の応援を100倍楽しむ方法。
地方大会の名物ブラバン一挙紹介!
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/07/05 11:10
真夏の炎天下で、数時間にわたり演奏し続けるのは並大抵の体力ではない。直射日光など楽器へのダメージを考慮し、野外専用の楽器を使用する学校もある。
東京は日大三「Come on!!」、千葉はディズニー!?
西東京大会で注目すべきは、日大三のオリジナル応援曲「Come on!!」だ。
同校OBのNHK交響楽団打楽器奏者・竹島悟史氏が作った曲で、スピード感あふれるイントロから、闘争心をかきたてられる。日本最高峰のオーケストラであるN響の団員による作曲と聞くと、カッコいいだけではなく、なんとも格式高い演奏に聴こえてくる。
激選区の千葉は、吹奏楽の強豪校も多く、日本屈指の実力校が揃う吹奏楽王国でもある。2015年には、日本初、いやおそらく世界初であろう野球応援コンサートが開催された。習志野市立習志野×拓大紅陵のコラボレーションによる「ベースボールサポーターズコンサート」は、NHKニュースでも報じられるなど、大きな話題となった。
千葉の野球応援を牽引するこの2校以外にも名物応援は多数あるが、なかでも専大松戸の選曲に注目したい。
ディズニーランドのある千葉県の高校で、ディズニーの曲を応援に使う学校は多いが(特に浦安)、「ミッキーマウス・マーチ」が目立つ中、専大松戸は「ジッパ・ディー・ドゥー・ダー」を演奏。人気アトラクション「スプラッシュ・マウンテン」のラスト、山の頂上から滝つぼに急降下するクライマックスで流れる、あの名曲だ。
ほかにも「Sing Sing Sing」など、ジャジーな選曲が目立ち、音楽的にも非常に聴きごたえがある。
唯一無二のオリジナリティが光る樹徳の「ナマステ」。
千葉同様に激戦区の埼玉では、オリジナル応援曲を持つ浦和学院と春日部共栄を推したい。浦和学院の「浦学サンバ」は、演奏も野球部員の踊りも底抜けに明るく元気で、とても前向きな気持ちになれる。近年、沖縄代表の興南や浦添商業なども応援に取り入れている人気曲だ。
春日部共栄の「ガッツ」は、昭和のアイドル歌謡のような、どこか懐かしいメロディーが郷愁を誘う。ちなみに、曲名の「ガッツ」は、作曲者の春日部共栄高校吹奏楽部元顧問・都賀城太郎氏の苗字をひっくり返したのが由来だ。
高校野球でもサッカーの「チャント」のような応援が増える中、六大学のバンカラ応援をそのまま再現したような、松山高校の男くさい応援も、今は逆に新鮮に感じる。
学ランを着て、最後まで勢い衰えず一心不乱に応援する応援団の姿は、男子校ならではの迫力がありグッとくる。
群馬での応援で今一番注目しているのが、樹徳のチャンステーマ「ナマステ」だ。野球部員が一斉にメガホンを振り下ろし、腹の底から「ナマステー」「ナマステー」と叫ぶチャンステーマは、唯一無二のオリジナリティ。思わず釘付けになること請け合いだ。