甲子園の風BACK NUMBER
高校野球の応援を100倍楽しむ方法。
地方大会の名物ブラバン一挙紹介!
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/07/05 11:10
真夏の炎天下で、数時間にわたり演奏し続けるのは並大抵の体力ではない。直射日光など楽器へのダメージを考慮し、野外専用の楽器を使用する学校もある。
なぜ東邦高校はロッテの曲を多用するのか。
愛知では、千葉ロッテマリーンズの応援曲を多用する東邦に注目したい。ロッテ率が特に高くなったのは2014年夏の地区予選からで、2016年の選抜では、ほぼオールロッテ状態に。同校吹奏楽部顧問・白谷峰人氏によると、「ロッテの曲がカッコいいから」と、野球部員が吹奏楽部にリクエストしてくるのだという。
高校野球の応援は、強豪校の応援曲やスタイルを真似して全国に広まっていくケースが非常に多い。
以前、とある試合で鹿児島実業の応援を聴いていたところ、「どこかで聴いたような……」という、既視感ならぬ“既聴感”が……。これは間違いなく、横浜高校の第一応援歌だ。
横浜高校吹奏楽部顧問の立石洋介氏に事情を伺ったところ、「昔、応援団を立ち上げた桜井秀一先生の後輩の方が鹿児島実業に赴任されたのですが、『どのように応援をしていいかわからない』と桜井先生に相談され、うちの応援歌を譲ったそうです」とのこと。
「ヨ・コ・コー!」と掛け声が入る部分は、「カ・ジ・ツー!」となるのだが、以前横浜高校と鹿児島実業が対戦した際、横浜高校の生徒たちは、自分たちとまったく同じ応援に、ざわめきが起きたという。
「生徒たちは驚いて、『うちの真似してる!』と騒いでいました(笑)。応援歌を譲った経緯を知っているのはもう私くらいしかいませんが、鹿児島実業の応援は、いわゆるパクリではなく横浜高校公認なのです」(同前)
知れば知るほど、その奥深さにどんどんハマっていく高校野球応援の世界。『高校野球を100倍楽しむ ブラバン甲子園大研究』(7月14日発売)では、さらにマニアックなネタを多数紹介しているので、興味のある方はぜひご一読いただければと思う。