プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ルーニーは中盤でOK。ではFWは?
一見好調のイングランドの悩み所。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/06/19 11:30
アディショナルタイムに決勝点を決めたスタリッジの咆哮。決勝トーナメント初戦の相手が他グループ3位の国となる、グループ1位に王手をかけた。
ルーニーは中盤でOK。ではFWは?
結果的なルーニーの中盤起用に異存はない。ロシアとのEURO初戦では、敵が時間とスペースを与えてくれたとはいえ、3センターの一角で的確にボールを捌いたルーニーがマンオブザマッチに相応しい出来を見せた。但しケインは孤立気味で、ストライカーではないラヒーム・スターリングとアダム・ララーナが両サイドの3トップが相手ゴールへの脅威に欠けたことも明らか。世代交代を遂げたイングランドが、守備の不安を攻撃で帳消しにすべきチームとなっている事実を考えれば、前線の迫力不足は即座に解消しなければならない。
その意味でも、ウェールズ戦では前線にストライカー2名を配し、予想できた相手3バックの注意を散らせて隙を見いだす方法が有効かと思われた。初戦でベンチを出るチャンスすら与えられなかったバーディーをケインと組ませ、両FWに背後からデル・アリが絡む4-3-1-2の陣形で臨んでも良かったのではないだろうか?
バーディー投入で試合の流れは大きく変わった。
だが、良く言えば選手への信頼が厚く、悪く言えば柔軟性が乏しいホジソンは、スタメンをいじらずに2戦目に臨んだ。
前半は試合内容も初戦と同様。ポゼッションの優位を決定機の数に反映できず、ケインへのチャンス供給は乏しく、そのケインが起点となったカウンターからの貴重な絶好機は、大きくバーの上を越えるスターリングのシュートでふいになった。
ベンチのバーディーが心の中で、「俺がクロスに走り込んでいれば」と思っていても不思議ではない。
ケインとの交替で形態は3トップのままではあったが、バーディーが前線中央に入り、同時にスターリングと替わったスタリッジとあわせてストライカー2名が顔を揃えた後半のイングランドは、攻撃のスピードと迫力を増した。
スタリッジのクロスに対する相手CBのクリアミスを拾って蹴り込んだバーディーの1点目は、ボックス内で鼻が利く「点取り屋」らしいゴール。スタリッジがバーディーとアリのタッチを介したチャンスを締め括った2点目は、人数を割いて守る相手ゴール前に攻め入ったと言える得点シーンだった。