プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ルーニーは中盤でOK。ではFWは?
一見好調のイングランドの悩み所。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/06/19 11:30
アディショナルタイムに決勝点を決めたスタリッジの咆哮。決勝トーナメント初戦の相手が他グループ3位の国となる、グループ1位に王手をかけた。
ケインが自信喪失なら、スタリッジが浮上。
6月20日のスロバキア戦は、引分けでもイングランドのグループステージ突破が実現する。とはいえ、目指すべきは首位通過を意味する勝利。実現に向けて、システムは4-3-3据え置きなのだとしても前半からストライカー2名を含む前線が望ましい。
バーディーの先発は必須だろう。プレミアリーグ得点王の座はケインに譲ったが、新プレミア王者のエースは、優勝争いで敗れたトッテナムのケイン以上に乗っているストライカーである事を改めて証明した。
もちろん、持ち前のスピードを「スーパーサブ」として活用すべきだとする意見は根強い。しかし終盤の「飛び道具」としては、ウェールズ戦でイングランド代表のEURO出場最年少記録を更新し、3トップの左サイドで「活性剤」となった、怖いもの知らずの18歳ラッシュフォードがいる。
先発2人目のストライカーは、打った瞬間に枠外とわかる前半22分のFKからもケインの自信低下が窺えるため、それよりはスタリッジが妥当だ。解説を務めたリオ・ファーディナンドが「トーナメントでは重要」と強調していたチームとしての勢いと自信という点からも、逆転勝利を可能にしたキーマンの1人である彼は適任である。
EURO初優勝は「ひょっとする」のか。
巷で立役者として讃えられたホジソンは、EURO中継局のBBCとITVのニュース番組でも「判断が冴えて勝利を引き寄せた」と報じられた。しかし、そもそも前線の人選を誤っていなければ、得点者のベイルを含め決して出来がいいとはいい難いウェールズを相手に敗北の危険を招くことなどなかったはずだ。
国民が「ひょっとすると」と期待しているEURO初優勝と、指揮官自身が望んでいるとされるEURO後の続投へと望みをつなぐためにも、ホジソンはBグループ最終戦の立ち上がりから、対するスロバキアが脅威を覚えるイングランドの前線を実現しなければならない。