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伊澤、丸山、佐藤、そして田島創志。
ゴルファーは戦いをやめない人種だ。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2016/06/18 11:00

伊澤、丸山、佐藤、そして田島創志。ゴルファーは戦いをやめない人種だ。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

プロ転向3年目で初勝利をあげ、その年は賞金ランクも19位。田島創志が現役を諦めるはずはない。

パターのイップスで瞬く間に下部ツアー落ち。

 順風満帆かと思われたキャリアに突如影が落ちたのは、それからそう時間はかからなかった。2006年にパターのイップスにかかり、瞬く間に主戦場は下部ツアーになった。2012年にはツアープロ活動をほぼやめ、レッスン業に乗り出した。表舞台への復帰を何度も諦めかけたが、「これで最後にしよう」と思った試合だった2014年の下部ツアーで優勝。「また試合に出られることになっちゃったんですよね……」と苦笑いしていた。

 経験と明晰な頭脳が買われ、今回JGTOの役員へのオファーがあったのは、そんな風に本来の職場との距離感が遠ざかったり、縮んだりしている最中だった。実はその直前には、宮里優作が新会長に就任した選手会の顧問という役割も引き受けていた。

お金だけならばレッスンプロの方が割がいいが……。

 ツアープロとしての活動の時間を制限される仕事。ゴルフコース内でジャケットに留まらず、背広を着るよう命じられることは、選手自身にとってはある意味で残酷だったかもしれない。だが、田島はこう言った。「僕はね、逆だと思うんですよ」と。

「背広を着れば着るほど、もっとゴルフをやらなきゃって思う。僕はいま、“セカンドキャリア”と言ったら変なんですけど、プロとして試合に出ることではなくても、ゴルフ界に貢献するというテーマを持って生きることができている。それはすごく幸せなことだと思うんですよ」

 そして、ニッと笑って続けた。「いまはこうでも、復帰して、また勝ったらカッコいいじゃないですか」

 田島は近年、一般のアマチュアをレッスンすることもある。お金の貯まり具合で言えば、そちらのほうが、連戦で経費を重ねて賞金を積み重ねていくよりもよっぽど都合が良いらしい。しかし、彼らの価値観は多くの人々とは違う。

「陽の当たらない世界に完全に入ると、自分のモチベーションが下がってしまう。現場を見て、選手を見て、『自分だったらどういうボールを打つか……』ということを考えているほうが100倍楽しいんですよ。ここ(ツアーの現場)でワクワクする自分がいなかったらおかしい」

【次ページ】 彼らは、戦うことをやめられない人種なのである。

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