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貫けなかったサーブと守備システム。
男子バレー、本当は勝ち筋があった!?
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byAFLO
posted2016/06/07 11:00
決め打ちでブロックに飛ぶ、という方法には勇気がいる。それでも、体格で劣る日本が勝つには必要な作戦だったのではないか……。
世界を相手にリードブロック1本では戦えない。
昨季のV・プレミアリーグでは豊田合成や堺などがリードブロックを徹底していたが、豊田合成のアンデッシュ監督に、「相手が世界でもリードブロックで戦えると思うか?」と聞くと、首を横に振った。
「そうは思わない。1つのシステムだけではなく、相手や状況に応じたたくさんの、たくさんのブロックシステムを組み合わせなければならない」
大会5日目、オーストラリアに敗れて五輪出場の可能性が断たれたとき、永野は次のように話してくれた。
「ワールドカップの時はもっと、コミットブロックだったり、ライトに走ったりレフトに走ったりというのをやっていましたが、今回は基本的にリードブロックを多用しようということでした。監督の指示だし、僕らは監督を信じてます。なので僕らはやるだけです」
それ以上の言葉は飲み込んだが、目には無念の涙が浮かんでいた。
「日本がワールドカップで使っていたブロックシステムを各国が研究していたから」というのが、2年間で築いたオプションを封印した理由だと指揮官は言う。しかし大会途中からは再びオプションを使う場面が増えた。
今大会、選手たちが納得して自信を持ってコートに立てていたのか、疑問が残る。
スパイク、フォロー、つなぎの基本的なミスも多かった。
ただ、戦術以前に、日本が一番身につけなければならない技術の精度も足りなかった。相手の高いブロックに対し、スパイカーはリバウンドを取りながら粘り強く攻撃しなければならないが、スパイクの技術だけでなくブロックフォローがつたなく、つなぎのミスも多かった。
サーブとレセプションの精度も大きな問題だ。特にレセプションは相手があってのもの。コーチが台上から打つボールを取る練習を重ねただけでは、海外の選手の強力なジャンプサーブや、2mをゆうに超える選手が打ち下ろす独特の軌道のジャンプフローターサーブには対応できない。日本の選手も海外のリーグに出て、日常的にそうしたサーブを受ける必要がある。