“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
フランス、ブラジル、韓国との激闘。
水原JS杯でU-19が得た貴重な経験。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/05/28 10:40
東京五輪世代のU-19代表。来年にはU-20W杯も控えている。この敗戦を糧に前へ進めるか。
負けるべくして負けたが、多くの発見があった。
今大会、U-19日本代表は2敗1分に終わったが、負けた試合は大敗ではなく、接戦であった。だが、負けるべくして負けた試合でもあった。だからこそ、多くの発見、再発見を彼らは見出すことができたはずだ。
「百聞は一見に如かず」
映像で見せたり、言葉で伝えても、どれも実体験には敵わない。勿論、ただ体験をしただけで片付けてしまってもいけない。重要なことは「百聞は一見に如かず」のその「先」。実体験した後に、それをどう表現するか。サッカー選手は「ピッチ上の表現者」である以上、年齢にかかわらず、気付いた部分をどう具体的な成長としてプレーに反映させるかが大事なことになる。
この経験を今後どう活かすかが重要。
筆者は今回、トゥーロンに行かず、韓国に行った。関係者からも「なんでこっちなんですか?」と言われたが、2つの大会を秤に掛けた時、水原を選ぶのに一切の迷いは無かった。それはなぜか。U-19世代は育成においてとても重要な年代であり、その重要性はU-23世代を凌駕すると信じるからだ。それに、対戦相手のレベルや、同年代と戦えることに鑑みても、水原の方が得るべき物が多いのではないかと感じたからだ。
実際に思惑通り多くの選手が素晴らしい実体験を手にした。だからこそ、今後選手たちだけでなく、所属チーム、協会が、彼らの気付きを引き続きバックアップしていくことが重要となる。
「日本に帰って、この感覚が無くなるのではなく、より大きくするために高い意識を持って練習に取り組んでいきたい」(町田)
海外遠征は決して「遠足」ではない。強化するための価値ある機会ゆえに、全員で共有し、積み重ねていく義務があるのだ。次に海外遠征に行くときに、すべてが「リセット」されることがないように……。