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緊張感も危機感も感じられず……。
トゥーロン惨敗、五輪選考の行方は?
posted2016/05/30 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
MEXSPORT/AFLO
「優勝と選手選考」
二兎を追うのがトゥ-ロン国際大会のテ-マだった。だが、結果は1勝3敗、3得点5失点で5チーム中4位。主力である岩波拓也、亀川諒史が負傷離脱するアクシデントなど誤算もあったが結果が出ず、選手選考も乏しい大会に終わった。
試合内容は、4試合を通して非常に淡泊さが目立った。たとえばイングランド戦は相手にボールを持たせてカウンターという狙いを持って臨んだ。だが、イングランドは7-1でギニアに圧勝したほどの強さはなく、選手は10分も戦えば相手のレベルがそれほどではないことが分かったはず。その時、キャプテンの大島僚太やDFリーダーの植田直通らが「前からいくぞ」と自分たちの判断で戦術を変更して戦うことができたはずだし、そうした自主性の発露を手倉森誠監督は望んだはずだ。
「このぐらいの相手には完封勝利しないと……」
だが、失点しても攻撃の出力が上がらず、淡々と攻撃するだけでほとんどシュートを打たない。後半はより攻勢をかけて点を取りにいかなければならないが動きが鈍く、フィニッシュで終われない。「連戦の疲労で流動的な攻撃ができなかった」と大島僚太は言ったが、それはイングランドも同じであり、苦しい時ほど何ができるかが国際試合では問われることになる。疲れを感じていたのであればメリハリを付けて攻撃するように自分たちで考えてプレーすべきだが、最後はまるで流すように試合を終えてしまった。
「イングランドは弱かった。このぐらいの相手には完封勝利しないといけない」
植田直通は、悔しさを圧し殺して、そう言った。勝てるというなら相手を圧倒して、結果で示すべきだったが、イングランド戦の後半、ギニア戦の後半も覇気のない攻撃が続いた。それでは「勝つ気があるのか」と思われても仕方ない。