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SUVで24時間レースに参戦!?
C-HR Racingがニュル24時間に挑む理由。
text by
大串信Makoto Ogushi
photograph byTOYOTA
posted2016/05/26 13:00
全トラブルを片っ端からその場で解決していくレース現場。「課題への解決方法が早く導き出せるようになった」とはチーフメカニック大阪晃弘のコメント。
軽量化の果てにエンジンが残り、重量配分が前になる。
C-HR Racingは、富士スピードウェイでシェイクダウンテストを済ませた後ヨーロッパへ送られ、4月16日に行なわれたニュルブルクリンク24時間レースに向けた6時間のQualifying Raceに出走、アクシデントに見舞われながらもSP2Tクラス2位、総合56位で完走を果たした。デビュー戦では影山正彦、佐藤久実と共に古場も2周ではありながら決勝レースを走り、仕上がりをチェックしている。
その後、このレースで得られたデータをもとにC-HR Racingには熟成が加えられ、4月30日に行なわれたニュルブルクリンク耐久選手権・第2戦(VLN2)にも参戦(結果はリタイア)、本番のニュルブルクリンク24時間レースへの準備を整えた。
「VLN2ではトラブルが発生したものの(熟成が)良い方向へ進んだことが確かめられましたので、本番へ向けてもう少しやろうと思います。今の課題は、リヤの安定感を確保することです。クルマを軽量化していくとエンジンだけは残るので重量配分がどんどん前に寄ってしまいます。今はドライ路面でのグリップは確保できましたが、ウェット路面になると荷重移動が減ってくるのでどうしてもまだリヤの安定性が足りなくなる傾向があります。そこをもう少しなんとかしようと手を加えています」
過酷なレースを完走することで得られるものとは?
C-HR Racingは、TOYOTA GAZOO Racingの1台として5月28-29日に行なわれるニュルブルクリンク24時間レースへの戦闘体制を整え、過酷な闘いに臨む。
「完走することが非常に難しいレースなので、順位よりもまずは完走を目指します。その過程でクルマを鍛えるための課題を見つけ出し、自分たちも成長しようと思います。完走するためには安心して走れることが重要です。安心して走れれば、周囲に注意を払って危機も回避できるようになるからです。クラス的には速いスピードの後続車を常に確認しながら走らなければいけないので、なおさら信頼して走れるクルマに仕上がっていないと完走できないと思うんです」と、古場は語る。
ヨーロッパのあらゆる路面状況を備えるという1周約25kmのコースで、170台に及ぶ競技車両が24時間にわたって激戦を繰り広げる本番は、目前に迫っている。
モータースポーツへの挑戦2016
http://gazooracing.com/pages/special/challenge/
ニュルブルクリンク26時間生中継ページ
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