サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
U-23攻撃陣に必要な2つの条件。
「嘉人越え」&「浅野と好相性」は誰?
posted2016/05/12 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Atsushi Tokumaru
こういう試合は難しい。
国際親善試合でU-23日本代表がガーナ代表に3-0で勝った。スコアだけみれば完勝だが、残念ながらガーナはコンディションが明らかに悪く、特に前半はまったく動けていなかった。このレベルなら、オーバーエイジなど必要ない。日本の選手が冷静に戦い、ミスがなければもっと点差が開いていただろう。
だが、そうならなかったのは、日本にはサバイバルという内なる戦いがあったからだ。
W杯の時もそうだが、メンバーの当落を決める試合では誰だってアピールしたいと思い、結果を求めてしまう。この試合も選手が入れ替わった後半はその傾向が顕著になり、前に急ぎ過ぎて攻撃が単調になった。その結果、後半はゴールが生まれなかった。とはいえ、見るべきものがなかったわけではない。
個人的に注目したのは、チームの主力である浅野拓磨との絡み、そして誰が結果を残すのかという2点だった。
左MFとボランチで結果を出した矢島。
個で強烈なインパクトを残したのは、矢島慎也(岡山)だ。
左MFでスタメン出場すると前半11分、左サイドの角度が無いところから豪快に決め、15分には右サイドバック伊東幸敏からのクロスを右足のダイレクトボレーで決めた。2点目はFWならヘディングしたくなるコースだったが、シュートに自信があるのだろう、右足できれいに合わせた。「来いというところに来たのであとは当てるだけだった」と本人は謙遜するが、リオ五輪の選考試合で2点取るのは“持っている”と言える。
その矢島がさらに評価を高めるチャンスを得たのが後半、ボランチとしてプレーした時だった。
大島僚太、橋本拳人、原川力らとの違いをどれだけ見せられるのか。それを手倉森誠監督は見たかったのだろう。矢島は井手口陽介と組み、バランスよく守備をし、ボールを散らして攻撃のリズムを作っていた。しかし、個の対応では相手の体の強さに弾かれるシーンがあり、攻撃はやや控えめだった。手倉森監督が選考の際、重視する「結果」と「ポリバレント」は見せたが、2つのポイントの内容に差があったのは否めない。