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不在の遠藤航からU-23への“注文”。
「サバイバルになるのは分かってた」
posted2016/05/11 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
さいたまダービーで大宮に僅差(1-0)で勝利した後、遠藤航は少し不満そうな表情を浮かべていた。
「前半はプレスをかけても剥がされて、けっこうチャンスを作られた。最後やられないように意識してやっていましたけど、我慢でしたね。後半は修正できて結果的にゼロに抑えられたことは良かったですけど、攻撃面でもっとやれたと思うんで満足はしていないです」
常に「満足したら終わり」と言い続けているだけに自己評価は辛いが、浦和が安定した戦いができているのは、GK西川周作-遠藤-阿部勇樹-興梠慎三という強固なセンターラインが構築されたからだ。
攻守の貢献度から浦和ではもはや代えのきかない選手になっているが、遠藤はリオ五輪でメダルを目指すU-23日本代表にとっても絶対に欠かせないキャプテンだ。
ガーナ戦もトゥーロンも、キャプテン不在で戦う。
しかし今夜のガーナとの親善試合、さらにトゥーロン国際大会にもこのキャプテンは招集されない。昨年も8月京都合宿、10月の佐賀合宿(発熱で途中離脱)、今年4月の清水合宿など不在の時はあったが、カタール遠征やポルトガル遠征など国際試合には出場していた。トゥーロンの大会期間中にはACLの決勝トーナメント1回戦があるのでやむをえない部分はあるが、2カ月半後に五輪本番を迎える中、キャプテン不在がチームに与える影響は決して小さくはない。
「うーん、もちろんガーナ戦もトゥーロンにも行きたかったです。キャプテンなのにその場にいないというのは違和感があるし、海外で世界と戦える経験は大きいですからね。でも、自分にはACLがある。そこに集中して結果を出していくだけです。気にはなりますけど……」
トゥーロンは、世界の強豪と戦える貴重な舞台だ。日本は前回ロンドン五輪の時も参戦し、チームはいい経験を積んだ。この時の活躍が認められて、最終予選に1試合も出場していなかった宇佐美貴史と村松大輔が18名のメンバー入りを果たしてもいる。さらにその時はメキシコが優勝し、五輪本大会でも金メダルに輝くなど五輪前哨戦としての意味合いも大きい。それゆえ、この大会の重要性は遠藤も十分承知しているのだ。