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森重真人はなぜ連戦を乗り切れるか。
疲れを「頭で負かしちゃう」方法論。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/05/03 10:00
今季はACLとの二足の草鞋も響き、リーグでは13位と出遅れているFC東京。キャプテンとして、DFリーダーとして森重の力が問われる。
「ペナに入るまでに勝負をつけたい」
疲労を最小限に食い止め、自分の役割というものをこなしてきた。キャプテンとして先頭に立って、闘う姿勢を見せてきた。
充実期を迎えている彼の今のテーマは「前向きの守備」だという。
「まずはチームの状況が良くなっていくことを考えていますが、守備で言うなら、下がりながらじゃなくて、なるべくペナ(ルティエリア)に入るまでに勝負をつけたいということ。前向きに守備をすることで相手に圧迫感、威圧感を与えられると思うし、前に前にというチャレンジを心掛けたい。やられるときはあるんですけど、経験しながらバランスを見つけていきたいなとは思います」
日本代表ではヴァイッド・ハリルホジッチ監督からミーティングの席でバルセロナのハビエル・マスチェラーノの映像を見せられた。まさに「前向きの守備」の象徴であり、ビルドアップにも長けている。
「元々好きな選手」という彼は、マスチェラーノのプレー集をこれまでもずっと見てきた。やるべきことは、はっきりと理解している。自分のテーマと、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からのリクエストが一致していることも「タフ」に磨きが掛かっている大きな要因なのかもしれない。
再び過密スケジュールに突入していくFC東京。
ゴールデンウィーク一発目の試合となった4月29日のアビスパ福岡戦ではウェリントンにロングボールを頭で合わせられて先制点を奪われ、最後にPKを失敗しての敗戦。結果的には森重のミスが目立つ形になってしまったが、コンディション自体は決して悪くないように思えた。
ACLでノックアウトステージに進出すれば、ラウンド16、Jリーグ、そして代表のキリンカップと再び過密スケジュールに突入していく。
いかにして乗り切り、いかにして己のテーマをこなしていけるか。
タフガイのチャレンジや、いかに――。