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桃田賢斗、田児賢一が語っていた“運”。
当時、近くにいた人間の悔恨と回想。

posted2016/04/18 10:40

 
桃田賢斗、田児賢一が語っていた“運”。当時、近くにいた人間の悔恨と回想。<Number Web> photograph by AFLO

桃田賢斗は、日本バドミントン界における希望の星だった。バドミントン界が失ったものはあまりにも大きい。

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鈴木快美

鈴木快美Yoshimi Suzuki

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AFLO

 バドミントン男子の桃田賢斗、田児賢一(ともにNTT東日本)が違法カジノ店で賭博をした問題で、日本協会は桃田を日本代表の強化指定から外したうえで無期限の競技会出場停止処分に、常習性の高い田児は無期限の登録抹消処分を科した。

 これで桃田のリオデジャネイロ五輪出場は消えたわけだが、この処遇について世論は「妥当」「厳しすぎる」という反応に分かれているようだ。

 ここで問われているのは、“スポーツ選手の清廉性”だ。公金の一部を違法カジノ店で使ったことは司法で裁かれる。しかし“清廉性”の問題は司法の範疇ではなく、この前代未聞の問題に関して、アマチュアスポーツ界に、参考になる前例も見当たらない。“清廉性”についての考えは人によって大きく異なるので、意見が分かれるのも無理はないだろう。

田児が2012年に“運”について話したこと。

 田児について、ある象徴的なエピソードがある。田児が23歳だった2012年12月に、「“運”について話してほしい」と聞いたことがある。今思えば、問題の芽はあった。すでに海外遠征でのカジノ通いなど、賭け事に魅入られ始めた時期でもある。その時、田児はこんなふうに話している。

「たとえば勝負所でシャトルがネットの白帯に絡んだとするじゃないですか。その球が自分か相手コートのどちらに落ちるかは雲泥の差ですよね。それはギャンブルというか、運みたいなもの。オレはそこをどうにか、自分に引き寄せられないかと思ってますね」

 高校を卒業したばかりの頃、田児は休日も母校の後輩たちと一緒に羽根を打ってバドミントンを教え、家では試合のビデオをひたすら見続ける生活をしていたと聞く。担当コーチに「24時間、バドミントンのこと、考えてないじゃないですか! オレは24時間、考えてもらわないと嫌なんですよ」と言葉をぶつけたこともある。

 会見で桃田が「田児さんはあこがれで人間味がある人」と話していたのは、田児のそんなバドミントンへの情熱に対してのことだろう。

【次ページ】 田児「運をね、鍛えているんですよ」

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