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桃田賢斗、田児賢一が語っていた“運”。
当時、近くにいた人間の悔恨と回想。
text by
鈴木快美Yoshimi Suzuki
photograph byAFLO
posted2016/04/18 10:40
桃田賢斗は、日本バドミントン界における希望の星だった。バドミントン界が失ったものはあまりにも大きい。
当時、近くにいた人間としての悔恨。
1999年から2012年までバドミントン専門誌に所属した人間として、悔恨もある。
田児が海外遠征時に、合法とはいえカジノに入りびたり、徹夜明けで試合に出ることさえあったのは周知のことだった。自分も含め、彼らを取り巻く年長者はなぜ田児を止められなかったのだろうか。カジノ通いを始めた21歳の田児に、本気で「辞めろ」と言うことはできたはずだ。「田児が言うことを聞かなかった」だけで済まされない。
もちろん才能があるからと言って、周囲の人間が責任を感じたからと言って、その罪が軽くなるわけではない。しかし、桃田が近い将来、再びコートに立つ姿を見たいと思ってしまうのは、身内贔屓がすぎるだろうか。
この問題でバドミントン界が失なったものは多く、ゼロから再び築かなければならないことはさらに多い。