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Jクラブスカウト注目ナンバーワン!
京都橘高FW岩崎悠人、17歳の苦悩。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/04/09 10:40
1998年生まれの岩崎は東京五輪世代。代表ストライカーの期待もかかる。
「物凄く恥ずかしかったです……」
大会会場となっている、船橋法典グラスポの人工芝グラウンドの横で、目の前の試合を見ながら、筆者は岩崎と膝を合わせて話をした。目の前の試合の前に、京都橘は山梨県の帝京第三高校に0-1で敗れており、前日の大会初日には選手権覇者の東福岡に0-5で敗れていた。
「試合に負けて、物凄く恥ずかしかったです……。昨日、今日と僕らの試合を見ていたすべての人たちに、僕自身もチームも『所詮こんなものなのか』と思われたと思います。それが凄く悔しくて、恥ずかしくて……。正直、嫌です……」
目の前には大きく揺れ動く、一人の17歳の正直な姿があった。注目の的でありながら、2戦連敗で自身もノーゴール。それもそのはずで、彼は3日前の3月30日にU-19日本代表のバーレーン遠征から帰ってきたばかりで、バーレーンに出発する3月19日までの1週間は鹿島アントラーズの練習に参加していた。つまり、コンディションが万全ではなく、かつチームに合流するのも約1カ月ぶりであった。この状況下で本来のプレーをするのは難しい。しかし、彼の中では「京都橘はこんなものか」、「岩崎はこんなものか」と思われることに恐怖を覚え、それがよりプレーに迷いを生じさせてしまっていた。
4月はクラブのスカウトにとっても勝負の時期。
「何か簡単にやればいいところを自分でやってしまったり、それがミスに繋がってしまったり……」
納得のいかないプレーが続くも、多くのJクラブ関係者は注目し、話しかけてくれる。この矛盾に彼はより苦悩を浮かべた。
「本当にありがたい話で、感謝しか無いのですが……。自分が全く評価されないプレーをしているので……本当に難しいです……」
4月。この時期はJクラブのスカウト達にとっても「勝負を懸ける時期」だ。2年生まではいかに自分のクラブに興味を持ってもらえるか、しっかりと見ていることをアピールするかが優先されるが、4月になり、その選手が3年生になると、「YESという言葉をもらう」、「確定の言葉をもらう」時期になる。ここから月日が流れれば流れるほど、ライバル達は増え、米澤の言う通り、チームの来季の編成に大きく影響を及ぼしてくる。