欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ハリルホジッチ、クラシコを語る。
「バルサのMSNは仲がいいから強い」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/04/01 11:00
新戦力、新フォーメーションの実験も成功に終わり、ハリルホジッチ監督のプランは着実な進化を見せている。
この2クラブで通用する日本人についてハリルは……。
――レアル・マドリーやバルセロナでも通用する日本人選手はいますか。いれば具体的な名前を挙げてください。
「私が代表監督として真実を言わねばならないのであれば、多くのメディアと議論をしつくさねばならないだろう。だが残念ながら常に事実だけを語れるわけではない。私自身が事実を語りたくても、だ。デリケートなテーマでもある。
しかし昨夜のシリア戦で日本の選手たちが見せたいくつかのプレーは、バルセロナと同じスペクタクルと美しい動き、素晴らしいテクニックに溢れていた。違いはバルセロナが必ずゴールで終わるのに対し、われわれはゴールを決められなかったことだ。
たとえば前半に見せた本田(圭佑)とシンジ(香川真司)、オカ(岡崎慎司)のコンビネーションは、バルセロナをちょっと彷彿とさせた。オカのジャンピングボレーがネットに刺さって欲しかった。入っていればまさにバルセロナだった。それ以外にも幾つか似たような場面があった。
ただ、正直に言って、日本に限らずすべての国の選手が、今のバルセロナでポジションを得るのは難しい。とりわけ攻撃的なポジションはそうだ。彼らは別世界だ。分かってもらえただろうか」
たとえ仕事ではなくても、この試合は見る。
――クラシコを観戦し、解説をすることは監督にとって、どんな意味を持ちますか。
「たとえこの仕事を引き受けなくとも、試合は見る。監督である限り、見なければならない試合がいくつかある。ドイツでいえばバイエルン対ドルトムント、オランダならアヤックス対PSV、フランスはパリ対マルセイユ、イタリアではユベントス対ミランやミラン対インテル、イングランドにも幾つかのダービーがある。だがヨーロッパ、いや世界で最高のダービーが、バルセロナ対レアル・マドリーだ。
それから6~7月には、私はEURO2016の試合も見る。監督というのは常に世界のサッカーの動向を気にかけている。だからワールドカップやEURO、大きなダービーは見逃してはならないわけだ。サッカーがどう進化しているかを見極めるために。
日本代表監督であるからといって、日本のサッカーだけを見ていればいいわけではない。EUROにしても、出場するチームの多くは、日本が予選を突破したらワールドカップ本大会で同じグループに入る可能性がある国だ。
試合を生で見るのはとてもスペクタクルだ。カンプノウに集う10万人の観衆と、テレビの前の数億人の人たち。もの凄く多くの人々がこの試合を見る。そんな試合を生で見る機会を与えられたら、喜んで受け入れるしかないだろう」