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ハリルホジッチ、クラシコを語る。
「バルサのMSNは仲がいいから強い」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/04/01 11:00
新戦力、新フォーメーションの実験も成功に終わり、ハリルホジッチ監督のプランは着実な進化を見せている。
バルサを破る絶対条件は「襲いかかる」こと。
――前回のクラシコ(2015年11月21日)はレアルのホームでバルサが4-0で勝ちました。今回もバルサ優位は変わりませんが、どういう展開になるでしょうか。レアルが勝つには、どうすればいいのでしょうか?
「今季のレアルに残された実現可能な目標は、バルセロナだけでなくアトレティコ・マドリーに追いつくことだ。バルセロナにリーガのタイトルを譲るのは屈辱だが、アトレティコ・マドリーに上を行かれるのは、レアルにとってさらに屈辱で、レアルのようなクラブには耐えがたいことだ。
そうなったときに汚名を返上する機会は、チャンピオンズリーグしか残されていない。しかし今日、レアルよりも優れたチームが3つある。バルセロナとパリ・サンジェルマン、バイエルン・ミュンヘンだ。
ジダンの監督就任は、ピッチ内外のレアルの状況を少し改善させた。ジダンは自分自身とチームに強く信頼を寄せている。カンプノウでの勝利を目指して戦術を作りあげるだろう。だが、とても困難な仕事と言わざるを得ない。カンプノウで勝つためには、バルセロナの選手に『襲いかからねば』ならない。彼らのポゼッションを阻止し、フィジカルなプレッシャーをかけ続ける。何故ならフィジカル面では、レアルの方がバルサよりも優れているからだ。
そしてとりわけ守備では、前の試合のような過ちを犯してはならない。まずは3人の宇宙人をブロックすること。個人としてもコレクティブにも。だが守ることばかりを考えるべきではない。できるだけ高い位置で相手に襲いかかる。そこでボールを奪い、少なくとも2点、できれば3点をあげて勝利を目指す。レアルにとってはとても難しい試合だ」
――それでも可能性はありますか?
「サッカーだからもちろんチャンスはある(笑)。レアルもまたファンタスティックなチームだ。しかしレアルのロッカールームには、バルサのような連帯感はないし、選手同士の緊密な繋がりもない。選手同士の関係は本当に重要だ。連帯が生みだす補完関係や自己犠牲の精神は、チーム全体の働きに大きな影響を与える。気心の知れた仲間と一緒に敵と戦うのと、何の友情も愛情もない、よく知らない人間とともに敵に相対するのは同じではない。敵を前にしての気持ちの強さに違いが出てくる」