ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
スターが連続離脱の新日本プロレス。
繰り返されてきた危機と再生の歴史。
posted2016/03/30 10:40
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Essei Hara
ここ数年、プロレス界で“ひとり勝ち”と言われていた新日本プロレスに、2016年の年明け早々から激震が起こった。
棚橋弘至と並ぶ団体の顔であった中邑真輔、さらにはトップ外国人レスラーであるAJスタイルズ、カール・アンダーソン、ドク・ギャローズが次々と新日本退団を表明し、世界最大のプロレス団体であるアメリカのWWEへ移籍。
2月末には、DDTと新日本、史上初の2団体同時所属選手として活躍してきた、“ゴールデン・スター”飯伏幸太までもが両団体との契約を解消したのだ。
合計5人ものトップレスラーの離脱。プロ野球でいえば、クリーンナップの一角を務める生え抜きのスター選手と、外国人助っ人の大半、さらに近未来のエースが一気に抜けてしまったようなものだ。業界ナンバーワンの選手層を誇る新日本にとっても、痛手でないわけがない。
新しいファンの間に広がる不安と胸騒ぎ。
いまのところ観客数減など目立った影響は出ていないが、ファンの間では「新日本はどうなってしまうのか」という不安と胸騒ぎが、静かに広がっているようだ。
無理もない。いまの新日本は、ここ数年でプロレスが好きになった、キャリアの浅いファンが中心。彼らにとって、応援していたレスラーがある日突然に目の前のリングから消えてしまうことなど、初めての経験なのだから。
はたして、このままWWEという巨大な波に飲み込まれてしまうのか? いや、新日本が本当の強さを見せるのは、ここからだ。'05年に柴田勝頼が退団した際「辞めることが新日本だ」とコメントしたように、何度も選手離脱を経験し、その都度ピンチに陥りながらも再生を繰り返し、44年もの間続いてきたのが新日本プロレスなのだから。
これまでどのようにしてピンチを切り抜け、新たな繁栄の時代を築いてきたのか。その歴史を紐解くことで、今後の新日本を見据えてみよう。