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3カ月ぶりのゴールは、収穫も3つ!
香川真司はドルトの「中心」になる。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/03/15 10:50
ブンデスでほぼ2位以上を確定させたうえでバイエルンを追うドルトムント。香川の攻撃力は絶対に必要とされている。
香川の調子を示す、2つのボールの受け方。
2つ目の収穫は、パスを受ける前の細かい動きや、チームトップを記録した走行距離とラン数について冷静に捉えられたことだ。
コンディションは良いと本人が話していたとおり、この日の香川は、パスを受ける前に相手のマークを外す動きが出来ていた。キレのある動きや動き直しでフリーになる動きは香川の好調のバロメータだ。コンディションが悪いときは、相手に背後に迫られた状態で受けてボールを失うことも多かったのだ。
「動きの質はすごく意識しました。相手を背負うのは自分のフィジカルを考えてもなかなか厳しい。前半のように激しいプレッシャーが来るなかでは特に、自分は得意ではない。常に動きに変化を加えながらボールを受けたり、ファーストタッチをどれだけ意識するかが大事だと思っています。意識して上手くターン出来た部分はありましたね」
状態を乱高下させないことが、長期戦では大事。
走行距離もそうだ。2011-12シーズン、ドルトムントは後半戦を無敗で乗り切り、リーグ2連覇を達成した。その年香川は、90分あたりの走行距離がリーグトップを記録した。
ただ、長い距離を走れるスタミナがあるという事実をポジティブに受け止めながらも、パスを受けるために何度も動き直す必要があり、結果として走行距離が延びてしまっている点は課題としてとらえていた。その点で、マインツ戦後の香川の話は説得力があった。
「もっと効率的に動きを判断していかないといけない。ただ単に動き回るのは、苦し紛れでしかないところがたくさんあるので」
すべての試合で、持っている能力をフルで出し切るのはもちろん重要だ。だがそれ以上に大事なのは、コンディションや調子を大きく落とさないで戦い続けることだ。
香川には、思い当たることがあるはずだ。
昨年の11月8日に行なわれたシャルケとのダービーで、香川は先制ゴールを決めただけではなく、今季最高とも言えるパフォーマンスを見せた。
しかし直後の代表戦を挟んで、一気にコンディションを落としてしまった。11月20日のハンブルガーSV戦、29日のシュツットガルト戦で途中交代。そして12月5日のヴォルフスブルク戦で今季リーグ戦で初めてスタメン落ちした。スタメンの回数が大きく減ったのはそこからだ。同じあやまちを繰り返すわけにはいかない。