セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田圭佑の右サイドハーフは見納め?
FWの故障で好調の4-4-2に終了気配。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/03/14 18:30
周囲がざわついていても、フリーキックへの集中は切らさない。キッカーとはつまり、チームの信頼の証だ。
キエーボに押される中、本田の守備の貢献は顕著。
キエーボの攻勢に押されるミランにあって、本田の守備面での貢献はこの試合も顕著だった。
アッビアーティが美技を見せる間に、接触プレーによって味方DFがグラウンドに倒れ込み、インプレー状態が続行した場面があった。帰陣していた本田はそこでサイドバックの位置に留まり、最終ラインの数的不利を補った。目立たないプレーだが、本田の戦術的バランス感覚やゲームセンスは、連続出場する中で研ぎ澄まされているのだ。
42分のFKでは、ゴールを直接狙った。ゴールの右手前27mの位置から放たれたボールは急降下してキエーボゴールを急襲。右ポストの脇へ外れたが、相手GKビザーリを冷やりとさせたのは間違いない。
55分には本田のクロスにFWバッカがヘディングを合わせる。ゴール外側の網を揺らした一撃にスタジアムがどよめく。
それでも、ミランの4-4-2がもはや機能していないことは誰の目にも明らかだった。
2月末に交通事故を起こしたFWニアンが戦列を離れて以来、指揮官ミハイロビッチはエースFWバッカと2トップを組ませる相手を探してきた。
真っ先にチャンスを与えた問題児バロテッリは献身性を見せることなく期待を裏切り、会長ご推薦のFWメネズは長期リハビリ明けでトップコンディションとは言い難い。L・アドリアーノは1月の中国移籍が流れてからこれまた調子が上がらない。腹回りがダブついているFWボアテンクは論外だ。
好調の拠りどころだった4-4-2の賞味期限が切れた。
結局、バッカと組ませる相手がいないと悟った指揮官は、やはり不可欠の本田とボナベントゥーラをウイングに上げ、前週の木曜から4-3-3の練習を始めていたのだった。
しかしキエーボとの試合では、MFポーリとMFボナベントゥーラが不慣れなダブルボランチに四苦八苦していた。
今季ボランチとして新境地を拓いたMFモントリーボの不在が中盤に重くのしかかっている。左足アキレス腱を痛めた主将の欠場は先月下旬から続いており、復帰時期は不透明だ。加えてクツカも欠場とあっては、中盤の機動力は半減する。
ミランのプレーから、攻めのアイデアと連動性が失われた。
固定されたレギュラーによって運用されてきたチームは、わずか2、3人を欠いただけで機能不全に陥った。これまで好調の拠り所としてきた4-4-2の賞味期限が切れたのだ。