セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田圭佑の右サイドハーフは見納め?
FWの故障で好調の4-4-2に終了気配。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/03/14 18:30
周囲がざわついていても、フリーキックへの集中は切らさない。キッカーとはつまり、チームの信頼の証だ。
後半、10番にボールを集めて反撃を狙ったミラン。
ミランのベンチからFWルイス・アドリアーノが61分に投入されると、チームメイトたちはより本田を探し、より10番へボールを集めるようになった。
63分、ぺナルティエリアへ走り込む10番へ入ったばかりのL・アドリアーノが、その1分後にはやはり相手のエリア内でチャンスメイクしようとした本田へ、右サイド後方からDFアバーテが長い縦パスを通した。
そして、74分にこの試合最大のチャンスが生まれる。
左サイドから本田が展開したボールは、MFポーリを経由してゴール右へ走り込むDFアバーテへ。強烈な右足シュートはクロスバーに嫌われたものの、弾かれたボールを詰めてきたMFベルトラッチが捉えた。だが、彼の左足ボレーも左ポストに嫌われてしまう。
5秒間に2度の得点機をフイにしたミランの選手たちは自棄気味に、イライラと不用意なファウルを増やしていった。キエーボの選手たちもそれに応戦した。試合を通じて出された警告7枚のうち、4枚までもが残り時間10分を切ってから連発されたものだ。
後半のロスタイムに、ミランの10番は右サイドの自分にはスペースがあると盛んにアピールした。だがMFボナベントゥーラが93分に放った左クロスは、キエーボのDFたちに弾かれ、本田へ届くことはなかった。
終わってみれば浴びた枠内シュートは20本。
スコアレスドローを告げるタイムアップの笛が吹かれた。
終わってみれば、ミランはキエーボから枠内シュートの集中砲火を浴びていた。一方で、徹底マークを受けシュート1本に終わったエースFWバッカの不振がいよいよ露見し、急遽先発させられたFWメネズに至ってはシュート0本という有様だった。
試合後、代理監督サキッチは「試合中に巡ってきたチャンスを生かし切れなかっただけ」と強がったが、敵地のグラウンドを後にするミランの選手たちの顔には、失望や怒りの表情が浮かんでいた。
試合直前の故障者発生に、土壇場での戦術変更。早い時間帯でのGK交代やシュートのバー連続直撃など、ベローナでのミランに数々のアクシデントと不運が襲いかかったのは確かだ。