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何があれば、なでしこは勝てたのか。
五輪予選の「不運と自滅」を考える。 

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栗原正夫

栗原正夫Masao Kurihara

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2016/03/08 18:00

何があれば、なでしこは勝てたのか。五輪予選の「不運と自滅」を考える。<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

第3戦となる中国戦敗退後の一幕。この3日後、第4戦を待たず、勝ち点差により五輪出場の可能性は消滅した。

「レベルの高いチームだってことは認めるけど……」

 メンタル面では、プレッシャーだけでなく、勝って当たり前という空気がメディアやファンを含め、選手やスタッフにもあったのは確かだろう。たとえば、初戦で日本を叩いたオーストラリアの中盤の軸であるMFケロンドナイトは日本戦の勝因についてこう振り返っている。

「日本がレベルの高いチームだってことは認めるけど、今回の試合については私たちの方が、勝ちたい気持ちで勝っていたと思う。本当に気合いが入っていたし、すごく集中していた。何が勝敗を分けたかといえば、戦術的なことではなく、気持ちだったと思う」

 近年、なでしこジャパンの人気を支えていたのは勝ち続けてきた結果とともに、そのひた向きに戦う姿勢にあったと思われるが、その姿勢に曇りはなかったか。気合いで試合に勝てるわけではないが、韓国戦、中国戦を見ても、どちらがより勝利に貪欲だったかは結果が表していたように思う。

第3戦での戦術切り替えも奏功せず。

 戦い方についても、疑問は残る。最初の2試合で1分け1敗と結果が出ず、佐々木則夫監督は第3戦となる中国戦で、ポゼッションを捨てて長いボールを多用するような戦略を採ったという。ただ、絶対に勝利が欲しいなかでの苦肉の策だったとはいえ、これまでポゼッションを重視してきたなでしこジャパンの流れに反する戦術が実を結ぶことはなかった。

 前線に大儀見がいるが、中国の大柄なDFを相手に横山久美や岩渕真奈ら小柄なアタッカーがパワーで対抗するのは無理があったといえる。中国戦にボランチでフル出場した阪口は、その戦いぶりについてこう振り返った。

「監督からの指示だったので、それをやるしかなかった。もちろん、何度かロングボールからチャンスになりかけた場面はありました。でも、もうちょっとボールをつなぎたいと思っていた人もいるかもしれないし、全員がそういうサッカーをするポジショニングじゃなかったかもしれないです。中国戦に関しては、ロングボールが多くなって、私もFWくらいまで上がれと言われていて、そこで跳ね返されたときにボランチのところが大きく空いてカウンターを受けるシーンがたびたびあった。やっぱり、ロングボールが増えれば距離感も悪くなるので、守備のバランスが悪いのはすごく感じました」

【次ページ】 短期決戦の怖さ。

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