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天才の親には共通の特徴がある!?
宇佐美貴史の例にみる、最新子育て論。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/02/29 11:15
子供は褒められると自分から上手くなろうとする。
オムツが邪魔で、1歳になる前には自分からオムツを突き返していたというほど元気一杯だった貴史。長男についてサッカークラブに顔を出していた頃はまだ団地住まいだったのだが、彼が四六時中ボールを蹴っていたので、両親は近所迷惑も考え、自宅でも常に練習ができるようにと一軒家の購入を考えたのだという。
「それから“ほめ上手”、“否定語を使わない”、“常に考えさせる”といった共通点もありましたね。美紀さんは、『貴史から“おかん、見ててね”って言われた時は、たとえ台所仕事が忙しくても手を止めて、“上手いねえ”と褒めてやりました』と話していました。子供は褒められると自己肯定感が湧き、自分からもっと上手くなろうとします。最近の親御さんの多くは、自分の子育てが周りにどう評価されているかばかりを気にして、あまりに“世間的に良い子”に育てようとし過ぎです。主役は子供なのですから、その自主性を忘れてはいけません」
当時の宇佐美家が読んでいた、ある本とは?
そして吉井さんは、常に家族が同じ方向を見ていることも大事だという。
「宇佐美家の場合、家族のキーワードが“サッカー”であり“ガンバ”。趣味が同じなので、毎日の家庭内の話題にも事欠かない。そうすると、夫婦間の会話も密だから、子供のちょっとした変化にも気づきやすくなります。貴史くんは一度、躾のために父親から殴られたことがあったのですが、それも反抗期に差し掛かる時に良くある、ほんの僅かな悪い兆しを父親が見逃さなかったからです。厳しい躾こそあれ、そこに親子間の断絶は無いんですね」
実は宇佐美家は、吉井さんが15年前にイチローや松坂大輔らの両親に取材してまとめた『天才は親が作る』という本の大ファンで、当時から自分たちの子育ての答え合せとして熟読してくれていたという。今回の取材では、そのこともあって吉井さんが家族中から大歓迎を受けることになったという話も。