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史上初の昇格3クラブ同時残留か!?
大宮、磐田、福岡のJ1参戦を占う。
posted2016/01/02 10:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
今回は、期待できる。
2016年のJ1リーグで、新しい歴史が刻まれるかもしれない。昇格3チームの同時残留である。
J2リーグにJ1昇格プレーオフが導入された2012年から、プレーオフを制したクラブはすべて1年で降格している。「トーナメントの醍醐味」とか「下剋上」と言えば聞こえはいいが、昇格プレーオフは過酷な現実を突きつけるシステムでもあるのだ。
昇格1年目のチームは、そもそも苦戦を避けられない。昇格チームが揃って残留を果たしたのは、2009年のサンフレッチェ広島とモンテディオ山形が最後である。'10年以降は少なくとも1チームが、1年でJ2へ逆戻りしている。
しかし今回の昇格3チームは、歴史を変えそうな予感が漂う。
大宮と磐田の予算規模はJ1基準。
J2優勝の大宮アルディージャ、同2位のジュビロ磐田は、J1基準の予算規模を誇る。彼らにとってのJ1は「居るべき場所」である。
J1昇格プレーオフに委ねられた3つめの昇格チケットは、リーグ戦3位のアビスパ福岡が射止めた。準決勝でリーグ6位のV・ファーレン長崎を1-0で退け、決勝では4位のセレッソ大阪と1-1で引き分けた。勝ちきることはできなかったものの、試合が行われたのはヤンマースタジアム長居──セレッソのホームである。年間順位上位による昇格も、彼らの奮闘を汚すことにはならない。
今オフの補強次第、というところはある。ただ、42節に及ぶ長丁場のJ2リーグで、3チームはJ1で戦っていけるだけの力を見せたのは確かだ。
'15年のJ2を制したアルディージャは、'14年8月に就任した渋谷洋樹監督のもとでスケールアップを果たした。72得点はリーグ最多タイ、37失点はリーグ4位タイである。シーズン終盤に失点が増えてしまったが、1試合平均は「0.88」にとどめた。コレクティブな守備を追求しつつ、球際の攻防にもこだわってきた。クラブの伝統とする堅守は変わらず、2年ぶりのJ1でもチームの支えとなるはずだ。