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史上初の昇格3クラブ同時残留か!?
大宮、磐田、福岡のJ1参戦を占う。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/01/02 10:30
昇格プレーオフ史上、3位のクラブがJ1に昇格したのは福岡が初めて。J2で3番目に強いクラブ、の位置を正しく測る年になる。
前線のムルジャと家長はJ1でもトップクラス。
そしてレギュラークラスのほとんどは、J1規格のタレントである。前線で連携をはかるドラガン・ムルジャと家長昭博は、J1でもトップクラスと言って差し支えない。
J2の戦いを経て変わったのは、チームのまとまりと勝負強さである。FW播戸竜二、GK塩田仁史、GK加藤順大らの移籍組が、ファミリー的な雰囲気にメリハリをもたらした。生え抜きMFの金澤慎も、「J2に降格した'14年はチームがまとまりきれなかったけれど、'15年は本当に一体感があった」と話す。久しぶりにスタメンに抜擢された選手や、途中出場の選手が次々と結果を出していったのは、チーム全員で戦い抜いた証である。
その結果として、大宮は勝負強さを身につけていった。J2優勝を決めた大分トリニータ戦は、0-2から試合を引っ繰り返している。「昇格して当たり前」との重圧をはねのけた'15年のシーズンを経て、これまで欠けていたメンタル的な逞しさも増している。
課題は失点の時間帯だろう。先行されるゲームが少なくなかったのだ。「シーズンを通しての反省点。J1で同じことをしたら、間違いなく難しい戦いになる」と、GK加藤は表情を引き締めている。
ジュビロの外国人トリオはとにかく強烈。
ジュビロは'13年以来のJ1復帰を果たした。
アルディージャと同じように、保有戦力はJ1のクラブに見劣りしない。とりわけ、外国人選手は強烈だ。
ポーランド人GKのクシシュトフ・カミンスキー、重戦車のような突破力を持つブラジル人FWアダイウトン、190センチの長身を誇る元イングランド代表FWジェイは、他クラブが羨むトリオである。ジェイは'15年のJ2リーグで20ゴールを記録し、アルディージャのムルジャを抑えて得点王に輝いた。アダイウトンも同4位の17ゴールをマークしている。
'14年シーズンの途中から采配をふるう名波浩監督は、言うまでもなくジュビロのレジェンドである。日本代表としても活躍した彼のもとでJ1へ返り咲いたのは、クラブにとって意義深い。かつてプレーした選手が復帰してきているのも、監督の求心力の高さをうかがわせる。
名波監督は「エレベーターチームにならないようにしたい」と繰り返すが、いかにして昇格と降格を繰り返さないようにするか、という具体的な手段も大切だ。