サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
7月以降、失速してきたU-22日本代表。
五輪アジア最終予選までに変われるか?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/12/26 10:30
12月13日、UAEで行われたウズベキスタンとの親善試合はスコアレスドローに。中央は主将を務める遠藤航。
何かを変える最後のチャンス。
こうなると、カタールに出発する2日から初戦・北朝鮮戦(13日)までの期間が非常に重要になってくる。それは戦い方を含めて、何かを変える最後のチャンスだからだ。
たとえば、本大会ベスト4という結果を残したロンドン五輪は、大会前の期間に変化を生んで成功した。大会前は前線からボールを奪う、攻撃的なサッカーを標榜していた。ところが本大会前のトゥーロン国際大会で1勝2敗、壮行試合のニュージーランド戦に引き分けるなど結果が出ていなかった。
世界相手に攻撃的に戦うには、完全に押し切れるだけの力がないと勝利することは難しい。そこでブロックをつくり、素早くプレスをかけてボールを奪い、永井謙佑の駿足を活かして速く攻めるという戦術にシフトした。初戦の5日前に行なわれたメキシコ戦で試すと、それがみごとにハマった。自信を持った選手たちは、グループリーグ初戦のスペイン戦にその戦い方で挑み、歴史的な勝利を挙げたのだ。
この時は、吉田麻也が中心となって選手たちが自主的に話をして決め、関塚監督の了承を得た。ちなみに南アフリカW杯の日本代表も大会前にシステムもメンバーも大幅に変えて結果を出している。
大きな大会前は、チームが変わりやすい。
1月2日、チームは中東に旅立つ。その時点でチームがどういう状況になっているのか分からないが、6日に予定されている親善試合がキーになるだろう。そこで結果が出ず、チームの戦い方に危機感を抱いているのであれば、選手が自主的にミーティングを開いて意志統一を図るなり、大胆に戦い方を変えることを指揮官に進言するなり、手を打たなければならない。
果たして、おとなしいリオ世代の選手たちがそうした重い決断を自ら下すことができるかどうか。また、初戦までに個人とチームがどのくらい成長していくことができるのか。初戦に向けて、戦いのムードをどう盛り上げていくのか――。
コスタリカ戦以降、チームとしての上積みがあまりない状況ゆえ、劇的な変化は予想しづらい。しかし、最終予選など大きな大会前は、逆にチームが変わりやすい。これまで結果を出してきたチームがそうだったように、リオ五輪を目指すU-22日本代表にも土壇場で何かを変える力、実行する強い気持ちが備わっていることを期待したい。