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全日本フィギュアは羽生絶対優位。
追う宇野、村上、無良らの可能性。
posted2015/12/23 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
NHK杯で300点超えとなる322.40、グランプリファイナルではさらに合計得点を伸ばし3連覇を達成。
偉業を成し遂げた羽生結弦は、全日本選手権で再び、国内での滑りを披露する。日程的に間がさほどない中での大会続きだ。その中でどのような滑りを見せるのか、注目が集まるのは必然だ。
ただし、全日本選手権で楽しみなのは、羽生の滑りだけではない。羽生への脚光の陰に隠れてはいるが、スケーターたちは、それぞれに成果をあげ、大会に臨もうとしている。
その中で、はじめに名前があがるのが、宇野昌磨である。
宇野、技術に裏付けられた好成績。
宇野は10月のジャパンオープンで世界選手権王者のパトリック・チャン、ハビエル・フェルナンデスを上回る得点で1位となると、グランプリシリーズのスケートアメリカで2位と早くも表彰台に上がる。
パリでのテロによりフリーが中止となったエリック・ボンパール杯はショートの成績がそのまま最終順位となり優勝。
グランプリファイナルでは、自己ベストを19.36も更新する276.79で3位。この成績には、「まったく思っていませんでした」と驚きを見せた。
成績もさることながら、ファイナルでの滑りが示したように、シーズンの中にも加速して成長してきた。その滑りからは、あらためて宇野の魅力が伝わってくる。
宇野はこれまで何度も、高橋大輔への憧れを語ってきた。表現力のあるスケーターになりたいという趣旨の言葉もしばしば発している。それがために、宇野イコール表現力と語られがちだ。
ただ、今シーズンの宇野の滑りが示したのは、高橋がそうであったように、技術の高さだ。昨シーズン習得した4回転トウループなどのジャンプ、プログラムの密度の濃さを支えるつなぎなどもそうだ。技術の裏づけあってこその好成績である。