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全日本フィギュアは羽生絶対優位。
追う宇野、村上、無良らの可能性。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2015/12/23 10:40
グランプリファイナルでは3位に食い込み、羽生について「追いかけるだけ」と語る宇野昌磨。シニアデビューの今季、目覚ましい成長を見せている。
苦労があっても粘り強く取り組んできた村上大介。
羽生、宇野とともにグランプリファイナルに出場した村上大介は、スケートカナダで強い印象を残した。特にフリーは忘れがたい。
この大会には羽生、パトリック・チャンが出場していた。その2人を抑えてショートは1位。迎えたフリーは最終滑走、しかも直前にチャンが滑り、やむことのない歓声の中でリンクに滑り出さなければならなかった。
プレッシャーは大きかっただろう。その中で、冒頭の4回転サルコウをきれいに決め、続く4回転サルコウ-ダブルトウループも決める。その後もミスなく滑りきった4分30秒は、観る者の心を揺さぶる時間でもあった。
結果は総合3位だったが、その順位には惜しいと思える滑りだった。
24歳の村上は、昨シーズンになってNHK杯でグランプリシリーズ初優勝を遂げている。競技の費用に苦しんだこともあれば、怪我に悩まされることもあった。
昨シーズンと今シーズンの成績は、2010年、ロサンゼルスに拠点を移しフランク・キャロルコーチの指導を仰いできた成果がようやく表れてきたものである。同時に、苦労があっても粘り強く取り組んできた結果でもある。
スケーターとしてのベースを高めた無良崇人。
昨シーズンの世界選手権に出場した無良崇人は、自身のグランプリシリーズ初戦、スケートアメリカは10位にとどまったが、NHK杯ではショートで自己ベストを出すなどして総合3位。アメリカからの巻き返しに成功した。
スケールのある、ダイナミックなジャンプを持ち味とするが、ジャンプが不安定になることも少なくはない。それは今なお課題ではあるものの、スケーティングを学び直す、表現面の追求をするなど、スケーターとしてのベースを高めようとしてきた。