岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
岩渕健輔が語るラグビーW杯と7人制。
世界と戦う「地力」こそが次の目標。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2015/11/28 10:50
リオ五輪で行われる7人制ラグビーは、女子のラグビー競技としては五輪初の開催となる。
2016年は大きな勝負の年になる。
記憶を風化させずに、非日常を日常のものにしていく。この作業がいかに難しいかは、私たち自身の経験に当てはめてみるとわかりやすいと思います。
自戒も込めて述べますが、たとえば私たちは海外旅行にでかけたりすると「次に外国に来た時にはうまくコミュニケーションを取れるようにするために、英会話を勉強しよう」と思ったりします。
当然、帰国した直後は書店に行き、英会話のテキストブックを買い込むわけですが、1週間、2週間と経つうちに熱意や問題意識が薄れ、気がつけば英会話の教材は、ほこりを被って机の上に置かれているままというような状況になってしまうことがよくあります。日本で普通に暮らしている分には、英会話を学ぶ必要に迫られないからです。
日本ラグビーは、2019年と2020年に向けて動き続けています。
7人制の女子のリオ五輪予選、東京大会が終われば、2月にはスーパーラグビーが始まりますし、6月に15人制のテストマッチ、そして8月のリオ五輪本番と続いていきます。
私たちはイングランド大会の成功に酔わず、前を向いて歩んでいかなければなりませんし、自らの拠るべきところに常に立ち返る必要もあります。その一つの方法が、イングランド大会で得た課題意識を持ち続け、W杯という非日常の世界を、トップリーグの日常にしっかり反映していくことなのです。
(取材・構成:田邊雅之)