岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER

ラグビー日本代表GMが教える、
7人制の楽しみ方と15人制との違い。

posted2015/11/27 18:20

 
ラグビー日本代表GMが教える、7人制の楽しみ方と15人制との違い。<Number Web> photograph by AFLO

15人制でも代表入りした藤田慶和だが、7人制には“スピード仕様”で臨んだ。

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岩渕健輔

岩渕健輔Kensuke Iwabuchi

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 こんにちは。ラグビー日本代表GMの岩渕健輔です。

 皆さんもご承知の通り、11月の7日、8日に香港で行われた「7人制ラグビーアジア予選 香港大会」では、男子セブンズ日本代表(7人制日本代表)が優勝をおさめ、来年のリオ五輪本大会への出場権を獲得しました。

 この試合の模様は、日本国内でテレビ中継もされましたし、W杯イングランド大会以降、ラグビーに対する関心が一気に高まったこともあり、大きな注目を集めました。

 しかし7人制のラグビーは、一般には15人制以上に知られていなかったのが実情です。私自身、「あんな競技があることさえ知らなかった」という声や「たしかに面白そうなんだけど、今ひとつ観戦の仕方がわからない」といった感想もよく耳にしました。そこで今回は、私なりに考えた7人制の楽しみ方をお伝えしたいと思います。

7人制は財政難から生まれた!?

 まず7人制のラグビーについては、オリンピックに向けて考えだされた競技だという印象を持たれている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は発祥は1880年代にまで遡ります。

 当時、すでにスコットランドでは15人制のラグビークラブが存在していたのですが、とあるクラブが財政難に陥ってしまいました。この窮地を脱するべく、多くの人数を集めて寄付を募るためには、1チームあたりの人数を減らして、たくさんのチームに来てもらってはどうかというアイディアがうまれたのです。

 とはいえ、15人制のラグビーと同じグラウンドを使って、わずか7人で試合をするのは肉体的な負担も大きくなります。また多くのクラブが集まっても、1日に多くの試合を行うこともできません。このようなことから、試合時間が前後半それぞれ7分ずつの計14分と定められました。

 このため試合が与える印象も、15人制の試合とはかなり違ったものになってきます。ちなみに15人制のラグビーは、「グラウンド上に選手が多すぎる」、「コンタクトプレーが多いため、ボールがどこにあるのかわかりにくい」といった印象を与えてしまうケースが往々にしてありました。

【次ページ】 15人制はおしくらまんじゅう、7人制は鬼ごっこ。

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