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侍ジャパンよりも、各球団に問題が?
リリーフに外国人を揃える理由とは。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/11/28 10:40
大谷翔平を筆頭に先発投手が安定感のある投球を発揮しただけに、リリーフの整備が急がれる。
中継ぎを加えても、外国人の多さは目につく。
ここに中継ぎ投手を加えると、リリーフ陣を外国人で構成しようという監督の意図がはっきり見えてくる。今度は'15年度の各球団にどんな外国人リリーバーがいたか見てみよう。
ソフトバンク……サファテ、バリオス
日本ハム……クロッタ(退団)
ロッテ……カルロス・ロサ(退団)
西武……バスケス
オリックス……マエストリ(退団)
楽天……クルーズ(退団)
ヤクルト……オンドルセク、ロマン、バーネット(退団)
巨人……マシソン
阪神……呉昇桓
広島……ヒース
DeNA……エレラ
ヤクルトなどはロマン→オンドルセク→バーネットという「勝利の方程式」を抜きにして'15年度の優勝は考えられないし、ソフトバンクのバリオス→サファテのリリーフ陣も強力だった。この外国人に依存するリリーフ投手の現状と、プレミア12で露呈したリリーフ投手の弱さが見事に重なってしまった。
少し前までは、日本人スラッガーの層の薄さが問題視されていた。これも各球団のフロントや首脳陣が日本人打者の能力を軽視し、その穴埋めに外国人打者を重用したことが背景にある。そして外国人リリーバーにとっても不幸なのは、使い捨てのように短期間で退団に追い込まれることである。過去3年間で球団を去った外国人リリーバーは次の通りである(成績は各年度のもの)。
< 2013年限りで退団した主な外国人リリーフ投手 >
ラズナー(楽天) 37試合、1勝2敗17セーブ4HP
ハウザー(楽天) 22試合、2勝2敗5HP
サファテ(西武) 58試合、9勝1敗10セーブ25HP
レデズマ(ロッテ) 26試合、3勝3敗6HP
ファルケンボーグ(ソフトバンク) 41試合、0勝4敗10セーブ9HP
マドリガル(中日) 31試合、2勝0敗15HP
< 2014年限りで退団した主な外国人リリーフ投手 >
カーター(日本ハム) 48試合、0勝5敗20HP
ウィリアムス(西武) 60試合、6勝4敗26HP
ボウデン(西武) 36試合、2勝1敗7HP
ファルケンボーグ(楽天) 39試合、3勝5敗20セーブ
ミコライオ(広島) 51試合、1勝1敗25セーブ
パヤノ(中日) 23試合、0勝2敗3HP
ソーサ(DeNA) 27試合、0勝3敗12HP
ソト(DeNA) 26試合、1勝1敗9HP
カーペンター(ヤクルト) 32試合、1勝2敗5HP
< 2015年限りで退団した主な外国人リリーフ投手 >
クロッタ(日本ハム) 30試合、2勝2敗9HP
クルーズ(楽天) 52試合、1勝3敗21HP
カルロス・ロサ(ロッテ) 29試合、1勝3敗12HP
マエストリ(オリックス) 28試合、0勝2敗1HP
そこそこの成績でも切り捨てられ、サファテ、ファルケンボーグ、ミコライオのように他球団に活躍の場を求める選手も少なくない。日本人投手の可能性を顧みず、ボールが速いことを第一義に考え、思ったような活躍をしなければ戦力外にして新たな人材をゲーム終盤に充てる。これでは国際大会のたびに日本代表がリリーフ投手に苦しむのは当然である。