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井端と内川が語った「逆方向」の鉄則。
筒香嘉智の打撃は国際大会に強い?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2015/11/17 11:20
2015年は打率.317、本塁打24、打点93と主要3部門で自己記録を更新した筒香嘉智。
8安打中7本が逆方向への打球。
プレミア12が始まって、開幕戦の韓国戦こそニゴロ、一直、一ゴロ、投ゴロと右方向への打球が目立った。ところが台湾に渡った第2戦のメキシコ戦以降は、放った8安打中7本がセンターから左方向、すなわち左打者の筒香にとっては逆方向への打球。この日の先制タイムリーも、プエルトリコの左腕・シントロン投手のツーシームを逆らわずに弾き返して三遊間を破ったものだった。
しかも前日のベネズエラ戦での3四球(1敬遠を含む)を含めた大会通算6四球という数字も、ボールを長く見るという逆方向への意識が生んだものと言えるだろう。
国際大会では、逆らわずに逆方向への意識をいかに徹底できるか――実はこれが鉄則だと言う。
井端弘和と内川聖一が出した「逆方向」という結論。
2013年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。第2ラウンドの台湾戦で先発の元ニューヨーク・ヤンキース、王建民投手の前に大苦戦した試合で土壇場の9回に同点打を放った井端弘和内野手(現巨人コーチ)はこんなことを語っていた。
「国際大会では相手投手の球筋も分からないし、ボールがとにかく動く。だから詰まることは覚悟して、とにかくポイントを近くに置いて右方向(逆方向)を狙っていくのが基本だという結論に達しました」
実は井端は当時の代表メンバーだったソフトバンクの内川聖一外野手とも、合宿中に外国人投手対策を話し合ったのだという。そうして2人で導き出した結論が、逆方向への意識だったというのだ。
結果として井端は台湾戦での殊勲打を含めて大会通算5割5分6厘と日本チームの首位打者となるハイアベレージをマークし、内川も3割4分8厘と2番目の数字を残した。
国際大会で頼りになるかどうか。その一つの目安となるのが、いかにきちっと逆方向を意識して打てるかどうか。2人は口を揃えて「それが鉄則です」と語っていた。