欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ゴール量産の陰に新トラップあり。
南野拓実、代表の悔しさを糧に。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/10/28 10:40
セレッソを飛び出して2年目、将来を嘱望され続けてきた南野が、欧州でも頭角を現し始めた。
短い出場時間以上に、ボールに触れなかった悔しさ。
その理由はこうだ。
「まず、自分はチームで結果を出し続けて、選ばれないといけない状況です。その上で、(代表では)少ないチャンスのなかでも結果を出さないといけないと感じたので。色々と良い経験にもなりましたし……。もちろん色々ありますけど、自分としてはやっぱり、悔しい気持ちの方が強い」
悔しさというのは、テストマッチにもかかわらず、後半最後の2分間とロスタイムしかチャンスを与えられなかったことで味わったものが一つ。
ADVERTISEMENT
もう一つは、ボールにすら触れられなかったことで感じたものだ。
「悔しさはそうしたことを全部含めて、ですね。チャンスをもらえなかったのはまだ信頼がないからで。『そら、そうや』と思われるかもしれないですけど。ただあの5分くらいの時間でボールを触ってもいなくて、触って何かを起こさないといけなかったです」
悔しさを隠そうとしないのは、南野の目標が高いところにあるからだろう。だからこそ、強気な姿勢で、代表での活動に取り組むことが出来る。そして、その強気ともいえる姿勢は、実際のプレーにも表れている。
得点量産を生む「強気なファーストタッチ」。
今季、南野がザルツブルクでゴールを量産できているのは、シュートとゴールに対する意識を明確に変えたから。それは本人が何度も口にしてきたことだ。
ただ、それを可能にしているのは、正確なトラップだ。
もちろん、足下でピタリと止めるシーンも少なくない。しかしそれ以上に目立つのは、2タッチ目でシュートにいけるようなファーストタッチだ。味方からのパスやこぼれ球を、正確にコントロールする。次のタッチで自らがシュートへ行けて、それでいて相手チームのディフェンダーやキーパーの届かない位置だ。どうして、そのようなトラップができるのか。南野のなかには明確な感覚がある。
「シュートに対して強気なファーストタッチが出来るようになったからですね」