欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ゴール量産の陰に新トラップあり。
南野拓実、代表の悔しさを糧に。
posted2015/10/28 10:40
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
10月の日本代表メンバーで話題をさらったのが、チーム最年少の20歳で代表入りを果たした南野拓実だった。メンバーのなかで、来年行われるリオデジャネイロ五輪に出場できる権利をもった唯一の選手だ(オーバーエイジ枠を除く)。
所属するザルツブルクでは好調を維持して、リーグ得点ランキングでも上位を争っていただけに、期待を集めていた。だが、出場したのはイランとのテストマッチだけ。しかも、後半43分からのわずかな時間だけだった。
果たして、彼は1週間あまりの活動期間で何を感じていたのだろうか。
ADVERTISEMENT
シリア戦の舞台となったオマーンで代表に合流したときに、南野はこう話していた。
「自分の動き出しを知ってもらう必要もまだまだあると思っています。自分から要求していったり、練習からアピールしていきたいです」
代表のサッカーを学びたいです。先輩たちから何かを盗みたいです。
謙虚に語るだけの新入り選手も少なくない。もちろん、悪くはない。でも、南野はそれだけで終わるつもりはなかった。
自分の良さを出すため、臆することなく要求する。
自分の持っているものをいかにしてチームに還元するのか。経験も年齢も上の選手たちの中に入っても、臆することなく自分のプレーを見せられるか。
彼にとっては“代表の一員になること”だけが目的ではない。代表に選ばれるのはスタート地点に立っただけだ。日本代表を引っ張るような存在になることが目標なのだ。
実際、短い期間でも臆することはなかったと南野は振り返る。
「普通に出来たというか……普通にやりましたよ。そういうもの(遠慮や緊張など)は全くなく。『自分、こういうところを狙っているんで』とか。『今のタイミングで裏に行けますよ』とか言えました」
試合に出られたのはわずかな時間でも、そうした要求をしっかりと代表チームのなかで出せたのならば、初陣としては上出来であるかのように思える。
にもかかわらず、代表チームでの1週間あまりの活動で、何を持ち帰ったのかについて問われた南野は、きっぱりと言い放った。
「悔しさ、ですかね」