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米国戦でも誇り高く戦ったジャパン。
“史上最強の敗者”堂々とW杯を去る。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byWorld Rugby via Getty Images
posted2015/10/13 12:40
アメリカ戦後、選手、スタッフ全員で円陣を組んだジャパン。
五郎丸が最後に決めて、勝負アリ。
後半に入ると、ともにPGで3点ずつを加えて20-11で迎えた62分、日本はPKからトライを狙いに行く。ラインアウトからモール、アマナキ・レレイ・マフィがトライで25-11。
アメリカも譲らない。71分にトライ&コンバージョン成功で25-18と、1トライ1ゴール差。
勝負がほぼ決まったのは77分。アメリカが反則を犯すと五郎丸歩がPGを決めて28-18とリードを広げる。そのままスコアは動かず、日本は勝利した。
大会を通じて機能し続けたディフェンス能力。
ベストメンバーがそろい、そしてこの一戦にかけてきたアメリカは、やはり容易ならざる相手ではあった。縦への強さを織り交ぜての2つのトライには、アメリカならではの迫力があったし、試合が終わるまで、決して気を緩めることのできない時間が続いた試合だった。
その中で、勝利することができた要因は、1つには、前半、点を取られたあとすぐに取り返してアメリカに流れを作らせなかったことにある。
さらに大きかった勝因は、ディフェンス面だ。低いタックルを前提とし、1人目が足に入って前進を阻止すれば2人目が倒しに行く。前半終了間際、しつこく守ってトライを防いだのは象徴的だった。また、アメリカにノックオンなどのミスが目立ったのは、日本のディフェンスの出足のよさがあってのことだ。
ディフェンスのよさが発揮されたのは、この試合に限ったことではない。日本は初戦の南アフリカから良いディフェンスを続けてきた。アメリカ戦でもそれが続けられたのは、いかに日本の選手たちがこの試合に集中していたかを表しているし、プール敗退を受けての、メンタル面での懸念が杞憂であることも示していた。
大会を通じて見せてきたディフェンスには、日本代表が大会までの長期間にわたって行なってきた取り組みの成果が、クッキリと浮き彫りになっていたといえる。
それはアタックにも言える。シェイプを軸とし、必要なフィットネスを磨いてきた。とりわけ南アフリカ戦の終盤に、それが活かされた。
つまりは、2012年4月に就任したエディ・ジョーンズヘッドコーチのもと、攻守にわたって方向性を定め、ぶれることなく鍛錬を重ねてきた。それを見せつけたのが、今回のワールドカップだった。