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米国戦でも誇り高く戦ったジャパン。
“史上最強の敗者”堂々とW杯を去る。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byWorld Rugby via Getty Images
posted2015/10/13 12:40
アメリカ戦後、選手、スタッフ全員で円陣を組んだジャパン。
しっかりした土台の上にある、個人の能力。
しっかり作り上げられたチームの土台の上で、選手たちは輝きを見せた。
キャプテンのリーチ マイケルは、常にゲインラインを突破し、おそらくは誰よりもタックルに行ったのではないかと思えるほど、素早く起き上がってはタックルを繰り返した。
大会前には想像もできなかったほど注目が集まり、おそらくはプレッシャーもあったのではないか。その中で五郎丸は冷静に自分のプレーを続けた。8強進出への思いも強かっただろう。アメリカ戦後のテレビインタビューでの涙は、1つの感情からではなかったはずだ。
トンプソン ルークの攻守に渡る仕事量は、あらためて目を見張るものがあったし、SO/CTBの立川理道もまた、定評のあるパス、ランのセンス、さらにディフェンスでも活躍、これからも中核であり続けるであろうと感じさせた。
チームの土台が確固としていた。だから、選手個々が力を発揮することができた。
「歴史を変えられるのは僕らだけ」
それに加えて、今大会での日本代表の躍進の原動力になったものがある。
ワールドカップでは、1991年のジンバブエ戦が唯一の勝利だった。勝利が遠い時代が長く続き、惨敗としか言いようのない試合も少なからずあった。「ラグビーで日本が通じるわけがない」「世界のトップクラスにはかなわない」。そんな言葉も珍しくはなかった。
選手たちはそうではなかった。
8月31日の記者会見で、リーチ マイケルはこんな言葉を発している。
「歴史を変えられるのは僕らだけ」
副キャプテンの堀江。
「今後の日本ラグビーのためにも結果を」
堀江は、海外でプレーを続けてきた選手だが、7月に取材する機会があったとき、こう語っていた。
「実際行ってみると、フィジカルはすごいけどスキルとかゲーム理解力は日本の選手もできているところが多い。でも『日本人だから』っていうところで出られなかったりも多かった。認めさせないと。今はすべてワールドカップのためにやっています」