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米国戦でも誇り高く戦ったジャパン。
“史上最強の敗者”堂々とW杯を去る。
posted2015/10/13 12:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
World Rugby via Getty Images
最後の試合も、最後の1分まで、選手たちの姿勢は変わることなかった。それが、今大会の日本代表のあり方を表していた。
10月11日、ラグビー日本代表はワールドカップのプール最終戦、アメリカとの一戦に臨んだ。
決して簡単な試合ではなかった。
アメリカは体格で日本の選手を上回り、圧倒的なパワーを持ち味とするチームだ。特に、198cm、122kgの巨漢ナンバー8、サム・マノアと193cm、104kgのCTBスレトン・パラモらは、分かっていても容易に止めきれないパワーあふれる選手だった。
しかも、南アフリカとの試合はほぼ控えの選手を起用し、主力を温存したことに、日本戦にかける意気込みが表れていた。
対する日本は、前日、スコットランドがサモアに勝利したことで、8強入りの可能性が絶たれた中での試合だ。決して容易ではない相手を前に、メンタル面も懸念される中、それでも日本代表は、自分たちの姿勢を貫いた。
取られてもすぐに取り返す、白熱した戦い。
試合は前半5分、アメリカがSOマクギンティーのPGで先制する。
その2分後、日本は自陣ラインアウトからの攻撃でSO小野晃征がラインブレイク。小野がキックしたボールを今大会初先発のWTB藤田慶和がチェイスしキープ。ラックから左へ素早く展開すると、HO堀江翔太からのタップパスを受けたWTB松島幸太朗がトライ。コンバージョンも決まり3-7。
25分にはアメリカが強みをいかした攻撃を見せる。日本陣内でFWの近場を攻め続け、右に大きく展開するとWTBタクズワ・ングウィンヤが右隅にトライを決め逆転を許す。
日本は再び、すぐに得点する。直後のキックオフボールをマイボールとすると、ゴール前5mあたりのモールから藤田がトライを決める。33分にはFB五郎丸歩が確実にPGを決めて17-8とリードを広げた。