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山田哲人、川端慎吾、そしてパ勢。
数字で見る彼らの積極性と攻撃性。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/10/01 10:30

山田哲人、川端慎吾、そしてパ勢。数字で見る彼らの積極性と攻撃性。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ヤクルトの中では、ボールを「見る」タイプの山田哲人。CSでも彼のバットがチームの命運を握っている。

27日の中盤、ヤクルトが急に攻撃的に。

 翌9月27日の試合も、ヤクルト各打者の緊張感は続いた。序盤の3イニングが終わった時点での見逃し率は前日とほぼ変わらない24.1%。巨人の9.8%とくらべると大きな隔たりがあった。しかし、それが中盤から変わった。

 4回は22球中ストライクの見逃しが3球しかなく、5回は6番雄平が初球を打って左前打、7番今浪隆博が2ボール1ストライク(ファール)から内野安打、8番中村が初球バントで1死二、三塁としたあと、9番石川雅規がボール、ファール、ボールからの4球目のスライダーを右手一本で捉えて先制点を奪う。

 なおも1死一、三塁とチャンスは続き、1番上田剛史がボール、ファール、空振りのあとの4球目を併殺崩れの二塁ゴロで1点加え、結果的にこれが決勝点になった。3イニングごとの見逃し率は、序盤24.1%→中盤12.7%→終盤18.2%で、全体では16.8%まで持ち直している。

山田と川端はどちらが好球必打か。

 視点を変えて、得点圏に走者を置いたときの見逃し率を見てみよう。26日はヤクルト15.2%、巨人10.5%とやはりヤクルトの思い切りの悪さが目立つ。それが翌27日になるとヤクルト0%(20球中ゼロ)、巨人2.2%と両チームともに好球必打が目立った。得点圏に走者を置いたときの好球必打、これはチームを勝利に導く攻撃陣の鉄則だろう。

 個人に目を転じよう。26日のストライクの見逃しは川端慎吾5、山田2、畠山4、バレンティン4、雄平2、翌27日は川端、山田、畠山、雄平が各2でバレンティンが4と多い。バレンティンは9月18日に復帰した当初は、2試合でホームランを含む5安打を放つなど活躍したが、それ以降はボールになるスライダーを追いかける悪癖が目立ち、徐々にストライクの見逃しを増やしていった。

 ホームラン王、盗塁王をほぼ確定している山田と、首位打者を快走中の川端の比較も面白い。この2試合では「好球必打の山田」と「慎重にボールを見定める川端」という姿があぶり出されてくるが、実際は逆である。ファーストストライクを打った打席の成績を紹介しよう(9月28日現在)。

川端慎吾
<カウント><打数/安打><打率>
  0-0          62/21      .339
  0-1          64/24      .375
  0-2          20/ 8      .400
  0-3              なし
  合計         146/53      .363

山田哲人
<カウント><打数/安打><打率>
  0-0          32/12      .375
  0-1          32/14      .438
  0-2          13/ 6      .462
  0-3           2/ 1      .500
  合計          79/33      .418

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