フットボール“新語録”BACK NUMBER
グアルディオラと180度異なる哲学。
ラングニックの4-2-2-2を観て来た!
posted2015/08/27 10:30
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Getty Images
「私たちは試合の展開に応じて、細かくシステムを変える。選手は勉強ができる必要はないが、頭の良さがプレーの邪魔にならないことは確かだ」
ラルフ・ラングニック(RBライプツィヒ監督)
哲学は細部に宿る――。
RBライプツィヒのホーム開幕戦に足を運ぶと、いきなり見たこともないウォーミングアップが目に飛び込んできた。
一般的にウォーミングアップは車の暖機運転のようなもので、体をほぐし、筋肉に負荷をかけ、技術のフィーリングの確認をする場だ。なかには採用するシステムの形にならんでビルドアップの練習をするチームはあるが、バイエルン・ミュンヘンでも、レアル・マドリーでも、ウォーミングアップのやり方に大差はない。
だが、ラルフ・ラングニック率いるRBライプツィヒは違った。
フィジカルメニューをこなしたあと、フィールドプレイヤー10人が自陣の6分の1ほどの狭いエリアに集まり、きれいに4-2-2-2の形に並んだ。すると全員がその場でステップを踏み始め、コーチがパスを出した瞬間、爆発的にプレスをかけるという練習を始めたのである。まさに魚の群れが動くような連動で、アメフトを見ているような感覚になった。
ボールを奪ってからも普通ではない。1度もバックパスをすることなく、縦に走りながらダイレクトパスをつなぐ。こちらはバスケットのカウンターのようだ。あとはその繰り返し。何気ないウォーミングアップに、ラングニックの哲学が凝縮されていた。
斬新な戦術でも、結果が出なければ意味がない!
先日、本コラムでラングニックが試みる4-2-2-2を取り上げたところ、ドイツ2部のチームの話にもかかわらず大きな反響があった。ただし、いくら斬新な戦術でも結果が出なければ意味がないだろう。机上の空論に終わる可能性もある。
そこで8月3日、RBライプツィヒのホーム開幕戦のフュルト戦に足を運んだ。両チームともに昇格を狙うライバルである。2部の頂上決戦を見れば、4-2-2-2の真価がわかるはずだ。