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グアルディオラと180度異なる哲学。
ラングニックの4-2-2-2を観て来た! 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byGetty Images

posted2015/08/27 10:30

グアルディオラと180度異なる哲学。ラングニックの4-2-2-2を観て来た!<Number Web> photograph by Getty Images

あくまでも4-2-2-2は基本システムであり、ラングニックは試合の流れに応じて、各ユニットの人数配分を変更する。インテンシティのある動きを求められる上に、戦術理解力も欠かせない高度なサッカーだ。

4-2-2-2は4つのブロックでできている。

 キックオフの笛が鳴ると、4-2-2-2は4つのユニットから成り立っていることがわかってきた。「2バック」、「ダブルボランチ」、「ウィング的サイドバック」、「前方の正方形」の4つだ。

 サイドバックは攻撃時にウィングになるため、DFラインは実質2バックだ。今夏ライプツィヒはトルコのベジクタシュから500万ユーロという大金をかけて身長196cmのヌカンを獲得した。足の速いセンターバックがいないと成り立たないシステムなのである。

 そして最大の特徴は「前方の正方形」にある。2トップと2人のMFが小さな正方形を作り、ピッチの中央にぎゅっと集まるのだ。ピッチの幅を取る作業はサイドバックに任せ、とにかく中央でパスの受け役に徹する。

 その機能はこうだ。

 2バックとダブルボランチが縦パスを出す役目を担い、彼らはボールを持った瞬間、前方へのグラウンダーのパスを狙う。それに呼応して「前方の正方形」の4人がパンッと弾け、一斉にパスコースに顔を出す。ボールが止まることがほとんどない、ノンストップサッカーだ。

かわされるリスクは顧みない。

 当然、攻守の切り替えも独特だ。

 ボールを奪った瞬間、選ぶべきパスコースはひたすら前だ。バックパスはほとんどない。前方の4人とサイドバックが一斉に走り出し、ショートパスとドリブルによってぐいぐい進んで行く。

 ボールコントロールは難しくなるが、体が前に動いているので、多少ボールが足下から離れて奪い合いになっても勢いで刈り取ってしまう。たとえ失っても、選手同士が近くにいるのですぐに囲い込める。

 ライプツィヒのプレスは特殊で、各自がかわされるリスクを顧みずに突っ込んで行く。いきなり奪えなくても、足にひっかかってこぼれ球が生まれたら、近くの仲間たちが群がる。相手の攻撃を遅らせるという発想がない。

【次ページ】 試合中にも10種類近いシステムをどんどん変える。

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ラルフ・ラングニック
RBライプツィヒ

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