セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
テベスもピルロも去ったセリエA。
今季は'90年代生まれの下克上の時!
posted2015/08/26 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
今こそ下克上のときだ。
FWテベスもMFピルロも去った今季のセリエAで、主役の座を奪うべきは'90年代生まれの若者たちだ。
リオ五輪世代にあたるイタリアの若手選手のうち、サッスオーロのエースFWベラルディは、今季の開幕に臨むに当たって3つの目標を立てた。
「より自制心をもつこと。もっと多くのゴールを奪って、チームを中位以上に引き上げること。そして、EUROフランス大会に行くんだ」
ベラルディは、8月にようやく21歳になった。
露出度でいえば、'93年生まれのFWディバラ(ユベントス)やMFアンデルソン(ラツィオ)の陰に隠れている印象があるが、サッスオーロでの過去2季で合計31得点を挙げた実績は抜群だ。セリエAで20歳以下の新米ストライカーが、29試合で16点を奪った1年目の後、2年目は32試合で15ゴールと2年続けて二桁ゴールを決めて見せたのだ。
問題児扱いもされてきたが、才能は本物。
15歳のとき、ベラルディはサッスオーロに近いモデナで働いていた兄のところへ遊びに行き、たまたま参加した5人制サッカーの大会でスカウトされて、そのままサッスオーロへ連れて行かれた。家族への連絡はしたけれど、引越しも転校手続きも全部後回し。故郷カラブリアから遠く離れ、鄙びた田舎町でサッカーだけに打ち込んだ。
クラブのセリエA昇格がかかっていた大事な時期に、ユース代表の招集を拒否して協会から大目玉をくらったこともある。インタビュー嫌いで口下手なベラルディは、問題児扱いされるようになったが、10代の時点で才能はすでに本物だった。
'14年1月、MF本田圭佑がセリエAデビューを果たした試合で、ミラン相手に史上初めて1人で4得点を叩き込んだ。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』社内では、ベラルディの選手採点をめぐって、禁断の10点満点を与えるかどうかで記者とデスクが口論になったという。