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<夏の甲子園 記憶に残る名勝負>
斎藤佑樹、栄光の1年前の挫折。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/07/31 16:30
早稲田実業は2015年春の都大会でコールド負けを喫し、それをバネに夏の甲子園出場にこぎつけた。その10年前、高校2年の斎藤佑樹も、初めてのコールド負けを経験していた――。
斎藤の「苦しんで、考えてきた経験」。
「最後まで諦めない素晴らしい試合でしたね。絶対に甲子園に行くんだというみんなの思いが8回の大逆転につながったんだと思います。(甲子園大会では)自分たちの持つ力を出し切ることに集中して、ひとつずつ勝ち進んで欲しいです」
「自分の持つ力を出し切ること」──。
この言葉は、斎藤が自身に投げかけているようにも聞こえてくる。
今季の斎藤は、開幕ローテーション入りを果たすも、2試合に先発した後にリリーフへと配置転換。
後半戦からは再び先発に戻り、後半戦の過密スケジュールの中で試合を作るべく、一軍昇格の機会を窺っている。
もどかしい日々が続く中、小誌は斎藤に「名勝負第1位」となったあの試合について、改めて話を聞くことができた。
いや、この言葉は正確ではない。
斎藤が話してくれたのは、あの試合へと至る、誰もが知らなかった歩みである。
その歩みの中には、今年のチームにとっての「春季大会でのコールド負け」という苦い経験にも似た、斎藤にとっての大いなる「挫折」、本人の言葉を借りれば、「苦しんで、考えてきた経験」があった、という。
涼しい顔をして伸びのあるストレートを投げ込んでいた、あの立ち姿からはまったく読み取ることのできなかった、そんな経験が自信となって、「自分の持つ力を出し切ること」を可能にさせていた。
2005年の夏。
栄光の1年前、誰も知らなかった斎藤佑樹が、そこにいた。
石田雄太氏の徹底取材による記事「二つの夏を越えて」では、この名勝負の主役である斎藤が、いかにしてこの舞台に辿り着いたのかを詳細に追っています。アンケート結果の順位とあわせ、発売中のNumber883号でぜひお読みください。