詳説日本野球研究BACK NUMBER
バントが少なく、盗塁と死球が多い。
パの強さを生み出す攻撃的姿勢とは。
posted2015/07/23 10:50
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Hideki Sugiyama
7月20日現在、セ・リーグのチーム成績は巨人が勝率5割で1位に座り、以下、DeNA-1、阪神-2、ヤクルト-2、広島-5、中日-7と続いていく(数字は借金の数)。前代未聞の珍現象を招来させたのは、交流戦でパ・リーグがセ・リーグに圧勝したためである(パの61勝44敗3分)。
交流戦がスタートしてから11年間、パ・リーグが対戦成績でセ・リーグを上回ったのは10回に及ぶ。1シーズンの勝ち越しを1勝とすると10勝1敗ということで、パの勝率は9割9厘に達する。なぜこれほどの差がついたのか。
梶谷隆幸(DeNA)を取材したとき、梶谷は「パ・リーグのピッチャーは皆、球が速い。150キロくらい投げる人がセ・リーグより多いと思う」と言っていたが、総じて言えることは攻撃的精神がパのほうが旺盛だということだと思う。
バントはセが多く、盗塁と死球はパが多い。
攻撃精神を表すチーム記録を、セとパで比較してみよう。犠打(バント)と死球の数は攻撃的精神をよく表していると思う。まず犠打はセの451に対してパは348。死球はパの214に対してセは151。パは犠打が少ない分、走者を次に進める手段を盗塁に求める傾向がある。盗塁をくらべるとセの277に対してパは346とやはり多い。ここまでに挙げた各種記録を以下にまとめてみよう。
・犠打……セ451>パ348
・盗塁……セ277<パ346
・死球……セ151<パ214
両リーグの攻撃的精神の差がひと目でわかると思う。これがテレビの前の視聴者や球場で観戦するファンの目にどう映るかは言うまでもない。「激しい野球のパ・リーグ、ぬるい野球のセ・リーグ」――そんなふうに映るのではないだろうか。